講座内容
・糖尿病と飢餓は本質的に同じ状態
・同化と異化をきちんと理解する
・自発的に進まない反応には全てエネルギーが必要
・飢餓/糖尿病/糖質制限の共通点
・飢餓で非アルコール性脂肪肝になる原因は?
・糖代謝が阻害されると「体資源」を分解する
・インスリン産生細胞を破壊するのは遊離脂肪酸
・各臓器の主要エネルギーをどう読む?
・脂肪を燃やすほどエネルギー低下する心臓
・肝臓、心臓、骨格筋、心臓が過酸化脂質ダメージを受けやすい理由
・ケトン体では脳のエネルギー需要を満たせない
・異化ホルモンと同化ホルモンの拮抗関係と影響を正しく理解しよう
・妊娠、コルチゾール、インスリン抵抗性の関係
・重度糖尿病レベルの高血糖がウェイトトレーニングで改善する仕組み
・徹底解説!解糖系(発酵)代謝
・重要!ストレス応答の為の「ペントースリン酸経路」が亢進する生理的意義の理解
・特別な代謝経路を持つ「フルクトース(果糖)」
・電子運搬体を理解する
・乳酸は「電子受容体」
・解糖系律速酵素の理解で糖尿病の本質が見える!
・エネルギー産生を止める重金属とアルデヒド
・クエン酸が疲労回復すると言われる理由
・解糖系とマグネシウム 〜どこから摂取する?〜
・長寿遺伝子サーチュインの生理的意味は?
糖尿病といえば「飽食」や「栄養過多」をイメージされる方も多いと思います。しかし生化学的に説明すると飢餓と糖尿病は全く同じ代謝が行われています。
食べ物に恵まれた現代で多くは選択の誤りから代謝異常を起こし(食べ物がないから)異化を起こし続ける飢餓と同じ状態へ陥り、インスリンという同化ホルモンを打つのが糖尿病です。
その治療法や予防策として「糖質制限」という飢餓や糖尿と同じ代謝へシフトさせる食事法が流行し「炭水化物は人類を滅ぼす」というキャッチフレーズが人々に歓迎されるのは皮肉なものです。(真実は全く逆)
それは続けるほどに飢餓や糖尿病と同等の代謝へシフトしていきます。
このメカニズムを「同化」と「異化」という代謝の基本にスポットを当てて説明しながら、糖尿病では「悪」とされる果糖(フルクトース)についても、解糖系の代謝経路を偏見なく眺めれば、むしろ治療に有効な物質であると分かります。
どんな情報を目にしたとしても、自分で代謝経路を確認して判断できる、確固たる知識を得て頂きます。
解糖系を理解するのは、実はミトコンドリアよりも難しい一面があるのですが、ここさえしっかり理解しておくともう砂糖悪玉説、甘いもの悪玉説に翻弄される事もなくなります。
今回講座作成をしながら「解糖系(発酵)代謝」と「果糖」はオメガ3と二分して世間で誤解されているとつくづく思いました。
少量のエネルギーしか作れず乳酸産生をする解糖系は、それ自体なんだか悪いもののような印象さえありますが、糖を完全燃焼するための大事な準備段階です。果糖(砂糖や果物の構成成分)はそこに組み込まれるだけ。
ネット情報はもちろんですが、分子栄養学のドクターさえこれを理解していません。
これは生化学の授業なので簡単とは言い難いですが、この本質を知っておけば、ここからいくらでも応用が効きます。
糖質クラス3ではミトコンドリアと還元ストレスという視点を解説しますが、ぜひ合わせてチャレンジして頂き、普遍性に満ちた生化学の世界を楽しんでもらえたら嬉しいです。
糖も、脂質も、その分布や性質の違いをしっかり理解すると、世界の壮大で絶妙な共生関係が見えてきます。
ここが何とも面白くて、今尚勉強しながら発見にいつも驚き、鳥肌をたてながら感動する事しばしばです。(これが仕事にできて本当に嬉しい限り)
さあ、全てを読み解く基盤となる糖代謝経路を、まずは解糖系をマスターしてしっかり土を固めましょう。