9月も終わろうとしています。1月にはもう、エネルギー代謝学セミナーの第1回目@名古屋が始まります……時の流れは早いですね。
ご受講を検討してくださる皆様へ向けて、2020年度のエネルギー代謝学セミナーの講義予定内容をお知らせ致します。
非常に長いです。こんな長い文章を興味深く読んで頂ける方にぜひご参加頂きたいので、受講検討中の方は読んでください。
以下目次です。
- まずは2019年度のセミナー告知をご覧ください
- 「エネルギー代謝学」の基盤となっている「生化学」とは?
- 「エネルギー代謝学」と名付けた理由
- 受講資格はありますか?誰でも理解できますか?
- 2019年度から新しく追加される予定の講義内容
⑤はまだ書きかけで、後日報告させて頂きます。
では、長文ですがよろしくお願いします。
1. まずは2019年度のセミナー告知をご覧ください
第1回〜第5回までは、2019年度エネルギー代謝学セミナーの内容が中心となると思います。現在、第4回が進行中です。
第1回
「エネルギー、エントロピー、酸化還元」+「脂肪酸組成や油脂の製造法から油の選択を考える」 ~迷わず油を選ぶための基礎知識~
第2回
第3回
第4回
第5回
2020年はこの通りに進めず、また新たな要素を加えつつ、再構築してお届けします。11月の募集開始までには、また決定事項をお知らせしたいと思います。
2. 「エネルギー代謝学」の基盤となっている「生化学」とは?
エネルギー代謝学セミナーのベースは「生化学」となっています。
生化学って、何でしょうか?
僕が愛用している「ハーパー生化学 原書30版」のsection 1に書かれている説明を要約しながらご説明したいと思います。
1. 全ての生命現象を扱う基礎的言語となるもの、それが生化学です!
生化学とは、別名「生物化学」と言われます。つまり「生物」を、「化学」的に検証するのが「生化学」です。具体的には、細胞内外の物質を分子的に捉え、それらの反応=代謝を、化学的に検証していくものです。
生命現象を扱う学問には、以下のようなものがあります。
- 生理学
- 免疫学
- 微生物学
- 薬理学
- 毒物学
- 細胞生物学
これらの「基礎的言語」となっているのが生化学です。
それに加えて、
- 炎症
- 細胞障害
- がん
などの理解にも、生化学は研究の基礎として扱われています。
生化学は、種々の学問の理解、そして現代人が抱える悩みである癌などに代表される慢性炎症の理解に最も役立っている学問です。生命現象の大元の大元にある土台を築いているもの、それが生化学と言えるでしょう。
2. 人間のみならず、動物、植物、最近からウィルスまで、幅広く適用される原理です。
生命現象そのものと、生命現象を扱う学問の土台となっている生化学は、人間だけではなく、世の中の全ての生命体に適用できる原理です。僕の講座では、地球上に存在するたくさんの人間以外の生物についても代謝や特性を生化学的な視点からお伝えしています。
これは単純に世の中を眺める視点が一つ増えて楽しいことでもありますし、ここから生化学の普遍性を感じて頂けると思います。全ての生命にとって脅威となること=正常な代謝を阻害するものは、生物の種類に限らずほぼ同じであることを生化学から学ぶ事ができます。
3. 医学と密接な関わりがあります。
現在では医学の発展により、病状に合わせた沢山の薬が作られ、疾患の緩和や治療に役立てられています。
「お薬」をつくること=「創薬」の基礎となっているのも、生化学です。医学は常に生化学と共に発展してきました。家に常備されている解熱剤や鎮痛剤、または慢性疾患で処方される薬が、なぜ効くのか、効かなくなるのは何故か、などの理由を生化学から理解する事ができます。
病気になった時に処方されるお薬の利点や欠点を、生化学を学ぶ事により、ご自身で理解する事ができます。
4. 栄養学や予防医学に大きな影響を与えています。
栄養学は、健康を維持するための5大栄養素(炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラル)の適切なバランスを考える学問です。予防医学は、近年増加の一途を辿る慢性疾患を防ぐための学問の1ジャンルとされますが、やはり栄養に注目しています。
生化学も5大栄養素に注目しており、それらの細胞内での働きを調べ、理解する学問です。そして栄養学の理解の基礎となっています。
例えば近年の話題となっている「オメガ3が身体に良い」という話も、脂肪酸の生化学的代謝を調べるうちに、免疫細胞が炎症を起こす(=活性化する)サイトカインや脂質メディエーターと呼ばれる生理活性物質の産生が、オメガ3系脂肪酸によって抑えられる事が判明した為に、栄養学の教科書にも「オメガ6と3のバランスが大事」と記載されるようになりました。(これが大きな誤解である事は講座で詳しく説明しています。ここでは分かりやすい一般例として。)
そのほか、甘いものに含まれる果糖と、ごはんやパンに含まれるブドウ糖は、身体にとってどのような影響の違いがあるのかなど、全て生化学的な研究から栄養学に反映されています。
栄養学を正しく理解する為にも、生化学は必須の学問です。と、言うよりも、①で書いたように生命現象を扱う学問全ての基礎共通言語が生化学なので、生化学の理解なくして、その他の学問の理解も得られません。
以上、生化学とはなんぞや?に答える説明でした。イメージは湧いたでしょうか?
これだけ医学が発展し、物事が科学的に検証され、病気が大幅に無くなっても良いのではないか……しかし無くならないのは何故なのか?
と、皆さん、思いませんか?
「医学も栄養学も発展し、食料も薬も用意された時代に、何故病気は増え続けるのか?」
この問いの答えは簡単です。
生化学は全ての生命現象の基礎であるにも関わらず……
- 皆さんが日常接する事が多い、医師、看護師、管理栄養士、または民間資格の治療家などは、ほぼ全員と言っていいレベルで生化学を全く理解していない。
- 生化学を理解していたとしても、俯瞰力を持って日常身体に取り入れている「食べ物」と繋げて考察できる人間がいない。
この2つが、健康と病気に関わる問題が解決されない理由です。共通言語として全ての基盤にあるのが生化学であるにも関わらず、生化学の理解がないのに、栄養や薬の影響を理解できるはずがありません。
いかにも生化学と栄養を海外をモデルにトップレベルでやってます!と言ってる団体の講師がいかに酷いものであるか、この記事から察して頂けると思います。まして、平均的な医師、看護師、栄養士はこれ以下のレベルであるのが日本の現状です。
医師、栄養士ではなく、創薬に関わるような研究者は生化学を正しく理解しています。僕は研究者の生化学講義は、機会があれば時折聴講させて頂いてます。
しかし研究者は、日常の食事の影響を全く重要視していません。また薬の長期的な影響も分からないが故に軽視していますし、とにかく現状でている症状を抑える事が目的になっていて、病気にならない身体作りをしなくてはならないという発想がありません。
ここが、創薬や医学が間違う理由です。
この「エネルギー代謝学」セミナーでは、研究者に負けない高いレベルの生化学講義を提供します。
そして日常身体に取り入れる食べ物、これまで人間が築いてきた食文化、現代医学や代替医学が提供している治療のメカニズム、地球上の人間以外の生物の生態などを、生化学というレンズを通してボーダーレスに理解していきます。
そして、生化学を正しく理解して、薬にも、サプリメントにも、乱立する治療法にも頼らずに、「食事と日常生活」を整えるだけで健康を改善し、維持する方法をお伝えします。
日本の(おそらく世界もですが)生化学を扱ったセミナーは、薬やサプリメントの適切な、効果的な使用法を伝えるものですが、僕のエネルギー代謝学セミナーでは、生化学を正しく理解すると、実は食事と日常生活の改善がもっとも効果が高い治療法、健康増進法だったと、サプリメントなど無くても健康の維持、改善はできますよ!とお伝えしています。
これは日本では随一です。正しい生化学の理解で、食べ物と日常生活の影響力の大きさを理解し、お金をかけず、身体に負担をかけず、一生健康に生きていくための「コストパフォーマンスと普遍性の高い」知恵を提供させて頂いてます。
生化学は生命現象の共通言語、基盤ですから、取得したならば一生、全ての生命現象の理解に役立てられる知識となります。最新情報を目にしても、振り回される事なくご自身でその本質的な理解に至ることが可能です。
3. 「エネルギー代謝学」と名付けた理由
エネルギー代謝学の根幹となっている生化学は、「熱力学」という物理学の一分野と非常によくリンクします。
熱が力に変換される過程を学ぶことを主眼とし、熱がエネルギーであり、機械的なエネルギー(仕事)に変換できることが熱力学を形成しています。
熱とはエネルギーであり、熱以外のエネルギーは最終的に熱へと変化します。
「熱」と「力(エネルギー)」は、生物の姿形、代謝、生態、寿命などを決める決定的な要素です。生物体内では何千種もの分子が主に糖、タンパク、脂質やその複合体として存在しており、これらが日夜化学反応を起こして生命が維持されます。
また、代謝という化学反応を起こすのは「酵素」と呼ばれるタンパク質です。酵素の反応速度は、「熱」によって決定されます。
代謝が進行する際に、反応物は遷移状態と呼ばれるエネルギーの壁を登らなくてはなりません(下図参照)。このエネルギー障壁の高さは代謝の反応速度を決定しますが、酵素はエネルギー障壁を低くし、代謝速度を早めるものです。
酵素によって、代謝速度を早め、生物は生存、活動に必要なエネルギーを獲得することが出来ます。酵素がよく働く至適温度は37度前後と言われており、それゆえに体温の高い陸上哺乳類は、生物の中でも最も代謝活性が高いです。
代謝活性が高い=たくさんのエネルギーを獲得、利用できる状態です。このエネルギーのおかげで、生物は体内の物質を必要な場所へ運んだり、大きな分子のタンパク質を合成することが出来ます。
熱とはエネルギーです。エネルギーは熱になります。これらは相互変換し、物理学では「力×距離」を意味する「仕事」を生体内で行うことが出来ます。
この概念を表しているのが「熱力学第1法則(エネルギー保存の法則)」と、「熱力学第2法則(エントロピー増大の法則)」です。この2つの熱力学は、実は生化学のベースとも言える原理となっています。
それを象徴する一文を、愛読書の一つである「代謝ナビゲーション〜ミトコンドリアを中心とする代謝ネットワーク〜/Navdeep S. Chandel著」から以下に引用します。
熱力学第2法則によれば、宇宙の全ての反応はエネルギーの供給がない場合には無秩序状態へ向かう。従って、無秩序さ・乱雑さへ向かう自然の摂理を避ける唯一の方法は、そのシステムにエネルギーを供給する事である。
生物は高度に秩序化された構造物で構成されており、無秩序さ・乱雑さへは向かいにくく出来ている。これは、無秩序さ・乱雑さに対抗するために、摂取した栄養素からエネルギーを作り出しているからであり、それによって命が支えられている。
しかし、生物が栄養素の摂取をやめてエネルギー(ATP)の産生量が減少した途端、無秩序さ(エントロピー)が増大し、やがて死に至る。
私たち生物は、年齢とともに衰え、やがて死に至ります。もし食事を止めたら、若くとも数十日で死に至ることになるでしょう。「死」とはエネルギーの供給が途絶え、生体内の秩序を保てなくなった状態=エントロピーが増大した結果です。
これを食い止めるために、食事から「質の良いエネルギー源」を取り入れ、酵素によってエネルギー(ATP)を獲得し、エネルギーを利用して新陳代謝を促進させ、生体内の無秩序さ・乱雑さ(エントロピー)の増大を防ぐことを、我々は日々行なっています。
実際に、生化学の教科書から、この様子は確認できます。
熱と、力(仕事)と、エネルギーが生化学の基盤となっており、生物の代謝と密接な関係があることが、なんとな〜くでもイメージして頂けたでしょうか? 熱力学第2法則(エントロピー増大の法則)は、宇宙の全てに適用できる法則と言われています。この普遍性に満ちた法則が、生化学の根幹にあります。
熱力学と生化学、つまりこれらは「エネルギー」を扱う学問です。そしてこの2つの原理・法則が僕がお伝えしたいことの根幹にありますので、「エネルギー代謝学」と名付けました。我々真核生物ではエネルギーはミトコンドリアで作られますので、エネルギー代謝学セミナーはミトコンドリアを中心とした代謝ネットワークを、実際の食生活や日々の行動、医療、流行りの治療法などに関連づけて解説するものになります。(Navdeep S. Chandel氏と監訳者様方にリスペクトを込めて)
少し難しい話となってしまいましたが、エネルギー代謝学セミナーに込めた僕のお伝えしたいことを、ごく簡単に表現します。
生きていくのに、困難を感じる時、絶望感を感じる時、病気になっている時、「エネルギーが足りない」とか「なくなった」とか「湧いてこない」って思うじゃないですか?
要するに、疲労感、疲弊感、病気、チャレンジしていく意欲の低下を感じている時です。
これを、生物の代謝を論理的に理解し、いかに日々の食事や生活習慣から「よりたくさんのエネルギーを獲得していくか」「強い生物になっていくか」、その方法を膨大なエビデンスと確かな生化学メカニズムと共に、学術的にお伝えするのがエネルギー代謝学セミナーです!
4. 受講資格はありますか?誰でも理解できますか?
受講資格はありません。誰でもご受講いただけます。ただし、一般と非一般で受講料金が違います。詳しくは、セミナー案内のページでご確認ください。ちなみに、どちらも2019年度よりお安くなりました。おバカなレベルの高額セミナーが氾濫するなか、最高水準の学問を破格で提供していることは、間違いなくお約束できます。
誰でも理解できるかどうか。
この問いにはっきり答えます。絶対に「Yes!!」です。
しかし、「やる気」と「努力」は必要です。
このセミナーは難しい生化学を日本一分かりやすく、生理的意味合いを正確に、そして日常に使える感覚でお伝えしています。ここは絶対の自信があり、もし当セミナーと同水準で分かりやすく解説しているセミナーが日本に存在するのであれば、お知らせ頂いた受講者様にはお支払頂いたセミナー代金を倍にしてご返金差し上げることを固くお約束致します。
しかし、そもそもが難しい内容を扱っていますので、席に座っているだけで全部理解できるなど、到底あり得ません。集中して講義を聴き、家に帰っても幾らかの復習をして、ようやく身につく内容です。
辻褄の合わない理論の丸暗記で「認定」が降りるような、そこらのセミナーとは、この部分で全く異質です。
2019年の全5回セミナーを今現在進行中ですが、受講者さんの理解レベルには、各人で相当な差があります。生命のメカニズムの真実に「こんなに面白いセミナーはない!」と大絶賛してくれる方もいる一方、難しすぎてドロップアウトされた方もおられます。
非常に難しいので、「録音OK」のセミナーとなっております。
すぐに理解するのは困難な方も、後々何年もかけて楽しめる内容になっています。生化学という全生物に該当する普遍的で廃れることの無い法則をお伝えしていますし、カリキュラム中に全てを理解できなくても、ゆっくり復習して習得して頂けるようにテキストは丁寧に作り込んだ物を提供させて頂いてます。
講義に関するご質問は、単発以外の受講者様にはメッセージでも受け付けています。もちろんセミナー中も質問時間をたっぷり設け、一般の方をメイン顧客と考えていますので、ゆっくり進行しています。やる気ある質問には、講師(僕)はとことん付き合います。
受講資格はありません。しかし難解ですので、やる気と努力は要求されます。せっかくの現場セミナーですから(2021年は開催しません!)、質問もどしどしお待ちしてます。皆さんのやる気と努力には100%応えます。しかし、やる気と努力なしには理解の取っ掛かりも掴めないかもしれません。
そんな感じです。近年、珍しいタイプのセミナーだと思います(笑)
大阪は今年は平日開催(水曜、木曜)となりました。土日に都合が合わなかった方からのご参加もお待ちしております。
5. 2019年度から新しく追加される予定の講義内容
- 化学の基礎を今年よりもより丁寧に、有機化学も加えて
- タンパク質にフォーカスした講義
- 食べ物にフォーカスした講義
- 料理の科学
こんなところを追加していきたいと思っています。
第1回〜第8回の振り当てなどは、まだ未定です。
まだ今年の第5回を作成途中ですので、それが出来上がった頃に、この続きを書きたいと思います。
しばしお待ちください!
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