前回は資材費を含めた家庭菜園のコスト掲載をしましたが、今回は「人件費」を考慮したコスト計算を考えます。
漠然と語られるこの問題に対する根本的な誤解と問題点を明確にしました。
—目次—
- 「人件費ガー」という意見
- 会計上の人件費はゼロ
- 時間 = 金?
- 家事労働の人件費は?
- 人件費を想定しても自分でつくったほうがコスパが良い
- タイパは目的と能力によって変化する
- 目的と能力が採算を変えた事例
- スーパーで買うより美味いものが食える
- 純労働時間に時給1,000円つけても採算は合う
- 失敗すると採算が合わない
- 一念発起の総コスト?
- SITO.の要求に応えましたが?
- メロン王子とZOOMで対談します
最初に結論を端的に示しますが、スキルアップに伴い、栽培の採算は必ず合うようになってきます。
日々の食事作りにおける料理と、ほぼ同じようなものです。
初心者と熟練の主婦では、献立の発想、下ごしらえ、調理、片付けの全てにおいて「差」があります。
入手可能な食材のみでバランスよく食事を作り、食材のロスを出さず、経済的に美味しく仕上げ、片付けも効率よく行います。
スキルアップにより、外食や中食を利用するよりも、自分で作ると安く美味しく食べられるという領域へ近づきます。
栽培もこれと一緒ですが、経験がないため想像できなかったり、失敗したまま諦めている場合、家庭菜園の採算は合わない、もしくは合わないのだろうと考えるのかもしれません。
それは「農」が私たちにとって身近なものではなくなっていることを意味しますから、憂慮すべきことです。
では本文をどうぞ!
「人件費ガー」という意見
この記事では「家庭菜園にかかる人件費」について答えを出していきます。
↑は私と悦子が農家ではないことを知った上で「農家?」と発言し、SITO.のフォロワー達が「アホな農家が妊婦に草刈りをさせている!」と炎上するように仕向けた超悪質なポストです。
おかげで労働基準法を守れという見当違いの批判コメントを多数いただくことになりました。
その話はさておき…
SITO.は元々「人件費抜きでキャベツ1個の栽培コストは1000円以上」と主張しており、私がそんなわけないと突っ込んだら「人件費を除外するな」と意見変更しています。
ですので論議の外の話となりますが、同様の意見も多数いただきましたし、この問いには答える価値があると判断したので詳しく解説していきます。
会計上の人件費はゼロ
では、せっかくの機会なので家庭菜園の人件費について大真面目に考えてみましょう。
一般的な意味としての人件費とは、従業員に支払う給与・社会保険料など、雇用にかかる費用をさす事になります。
以下の寄せられたコメントを見てください。
宮崎孝太さんのコメントは、一般的な会計・経済の考え方として正しいと言えます。
人件費とは「実際に支払われるコスト(支出)」ですから、家庭菜園においてはもちろん人件費はゼロです。
時間 = 金?
話はこれで終わりのはずですが、それは違うと考える人もいます。
「目的が楽しむではなく買うより安くするための経済的な観点では生産コストに人件費を入れるのは妥当」とのこと。
昔はともかく現代に楽しむ気がないのに家庭菜園をする人間が存在するのか、そもそも労働ではない時間の人件費とはどう定義するのか…と疑問は湧きますが、これらの意見が示すのは「機会費用(菜園に費やす時間を働けば得られるはずの賃金)」のことだと解釈できます。
もしくは、もっと単純に「労働でなかろうが時間 = コスト」という概念なのかもしれません。
現代の流行語を用いて説明すると、家庭菜園ってタイパ(タイム・パフォーマンス)悪くない?みたいな。
世の中はますますタイパ・コスパ重視の価値観へ変化していますから、このような意見が出てくることは理解できます。
ただし、よく考えると妥当性が低く、たいした合理性もないものです。
この誤解を解く事には意義があると考えたので解説していきます。
家事労働の人件費は?
キャベツが1個1000円に高騰しても、原価は54.3円〜75.8円で栽培可能だと前回の記事で解説しました。
キャベツの値は下がってきましたが、それでも鮮度の悪い小玉でさえ300〜400円します。
白菜は今、激高です。1玉600円〜800円にもなります。
市場価格がキャベツ1玉500円になろうが1000円になろうが栽培原価70円程度で、鮮度抜群で大きなキャベツが手に入り、人件費はゼロですから、家庭菜園は非常にコスパが良いものです。これは異論があろうがなかろうが、事実です。
しかし家庭菜園のタイパが悪いと直感的に考える方がいるのは理解できます。
この誤解を解くために、視点を家庭菜園以外のことに向けてみましょう。
毎日の炊事洗濯掃除などの「日常の家事労働」に人件費が発生すると考えた場合、それはどれほどになるのでしょうか?
家事労働をお金に換算するといくら? | Kajily (カジリー)
↑の記事を参考にしました。
1日のうち家事に費やしている時間が7時間として、仮にそのうちの3時間が料理、2時間が掃除、1時間が洗濯、買い物が1時間と決め、それぞれの時給計算をしていくと…年収額で合計282万7,200円となるようです。
家事と同時進行で育児もすると仮定し、保育士の平均時給である1,250円も上乗せすると、月収で約50万円、年収にすると約600万円になるとのこと…
すごい金額ですよね。家政婦やベビーシッターを雇う一部の富裕層を除いた庶民は、これらの家事労働+育児を日常的に無給で行なっています。
より現実味を持って理解するため、「3時間の食事作りのみ」で想定される人件費を考えます。
私が住む京都府の最低賃金は1,058円ですから、3時間で3,174円の人件費が発生すると仮定します。
1ヶ月30日だと95,220円の人件費が、家族の食事を用意するために使われる計算です。
後片付けも含めたら3時間では足りません!という方もいるでしょうし、「買い物1時間」を週に2回〜3回入れた場合はもっと人件費がかかる計算です。ひと月10万円では足りません。
このように毎日の食事作りに人件費を仮定すると、なんだかタイパの悪い行為に感じてきます。
実際にそう感じている人々は多数存在し、自分で食事を用意せず、外食や中食で食事を済ませます。
(画像:仲里依紗のYouTubeチャンネル)
女優の仲里依紗はウーバーイーツに年間833件の注文をしたそうですが、これはその一例です。
コスパが悪くてもタイパを優先し、お金を払って時間を節約しながら好きなものを食べています。
業務用スーパーで安い冷凍食品やインスタント麺などを買い込み、それを毎日食べれば健康的な食事を自炊するよりも安く済ますことも可能です。
しかし健康には良くないことから体調不良や生活習慣病を患うリスクを負う可能性があるため、これはコスパとタイパが両立しているとは言い難いです。
味的にも、たまに食べるとジャンクフードも美味しいですが、毎日毎食食べたいとは思いません。
健康も考えて美味しい食事を用意するとなると、コスパとタイパは反比例しがちです。
つまり「買うより作ったほうが安い」が成立しやすいのが炊事です。
栄養価の高い素材の原材料費は高く、美味しくバランスの良い食事をつくるのは手間(時間)がかかるため、これを外食やウーバーで用意する場合はかなりの金額を支払うことになります。
人件費を想定しても自分でつくったほうがコスパが良い
私が家庭菜園と関係のない話をしていると思いますか?
いやいや炊事や掃除洗濯などの家事と栽培は全く同じですから、ぜひ最後まで読んでください。
自分に対する人件費を想定したとしても食事は自分で作ったほうが安いことを理解するために、以下のような食材セットを買うか、自分で素材を購入して作るか、どちらが安く済むのかを考えます。
(画像:コープ自然派の食材セット)
食材セットとは、あらかじめ食材がカットされ、計量された調味料が添えられた商品であり、需要は高いようです。
上記「豚肉とキャベツの塩麹炒め」がコープ自然派では2〜3人前で税込950円で販売されています。
家族全員よく食べる我が家では2人前にしかならない量ですので、6人家族の我が家は主菜1つで3セット=2850円が必要になります。
原価が3割だとすると、豚肉とキャベツの塩麹炒め6人前の材料費は855円です。
人件費を京都府の最低賃金1,058円を仮定し、1時間分の人件費を足せば自炊の場合にかかるコストは原価855円と人件費1,058円で合計1,913円です。
1時間以内で炒め物を調理するだけでなく、米を研いで炊飯器にセットし、味噌汁も作れるでしょう。
入れる具材にもよりますが、味噌汁は翌朝も飲めるように多めに作っても1時間でいけそうです。
人件費を最低賃金に設定した場合ではありますが…自分にかかる人件費を想定した場合でも自分で調理した方が圧倒的にコスパは良いことが分かりますね。
これは当たり前の話だと思いますが、意外に思う人もいるかもしれません。
意外に思う人がいるとして、この差はどのように生まれるのかを次に解説します。
タイパは目的と能力によって変化する
栄養バランスが良く美味しい食事を毎日食べたければ、自分に対する人件費を仮定しても自炊した方が圧倒的にコスパは良いです。
しかし料理が苦手な人にとっては、どうも料理のタイパは悪い気がするかもしれません。
それは料理により時間がかかってしまったり、出来上がった料理の味に満足がいかない経験をしているからです。
料理が上手になるにつれ「作ったほうが安い」「タイパは悪くない」と感じるようになってきます。
スキルアップが必要なことの全ては、最初はタイパが悪いと感じ、上達とともに感覚は逆転します。
さらに楽しくなってくるため、労働的な感覚が薄れてきます。
個人の目的と能力によって、タイパは変化します。
分かりやすい例として、私に寄せられたコメントで説明します。
「結構真面目に家庭菜園にチャレンジした」と言いますが、会話してみると、全くやる気がないことが分かります。
ネットで調べれば大半のことがわかるならば、それを実践して成功したら良いのですが、たったの1回で諦めています。
料理に1回失敗して、もう料理なんかしないと言うのと同じことです。
タイパは目的と能力によって変化しますから、この場合は永遠に「買ったほうが安い」となります。
SITO.は煽りコメントを入れていますが、本来なら適切な農薬使用を教えてあげるべきですね。
以下は、SITO.と同じく愛知県でキャベツ年間100トンを出荷する農家さんの「イチロウのゼロイチ農業チャンネル」動画です。
初心者でも栽培に成功できるよう、慣行農業のスタイルで様々な化学合成農薬を紹介しています。
このイチロウさんのホームページ「さいこうやさい」から一文を抜粋します。
”家庭菜園でつまづいてやめてしまうより、
うまく出来て、黒字になって、
次はこうしよう。という知見が深まってくれた方は
野菜の貴重さ、大変さをよく理解してくれています。”
1個1000円もかかるから栽培するな!とデマを拡散するお坊ちゃん農家とは、器の違いが明白ですね。
ちなみに、イチロウさんは新規就農から積み上げた歴15年の1代目農家だそうです。
目的と能力が採算を変えた事例
タイパは目的と能力によって変化します。
私自身も、2年前まで目的に欠け、能力が低かったため、家庭菜園は採算が合わないと考えていました。
2018年から畑は地味に続けていたのですが、すごく適当に、なるべく肥料を使わない自然農に近いスタイルで、自己満足的でした。
肥料をほとんど与えないだけでなく、適切な管理方法も勉強せず、目的意識に欠けていました。
それでも一応、収穫物は得られます。
大根、さつまいも、スナップエンドウと絹さや、ミニトマトなどは、無肥料でも結構採れてました。これらはあまり肥料を必要としないのですね。
これではいかんと勉強して、昨夏はナス1苗から100個採ることに成功しましたが、それまでは小さなナスが20個くらいとか?まあ散々でした。
キャベツや白菜は、大きなものが収穫できたことがありませんでした。
転機は2023年の夏で、それまで畑の方針は悦子に任せていたのですが、悦子が7月に出産し、そこから私が畑を1人で管理することになりました。
これまでの振るわない収穫量を反省し、秋冬の葉物野菜の畝作りと栽培方法を改良しました。
初めて動物性堆肥(鶏ふん)を少量入れ、黒マルチをビシッと綺麗に張って、苗を植えたらすぐに防虫ネットをかけました。
要するに、普通のことをきちんとやっただけ(笑)
しかしこれだけのことで、見事に収穫できるようになりました。
こんな大きく綺麗な白菜がちゃんと収穫できました。3〜4kgの白菜がいくつも採れました。
キャベツは先に掲載されたように、最大2.8kgにもなりました。
小松菜も青梗菜も水菜も、全部ちゃんと大きなものが収穫できたのです。
もちろん2024-25の冬も、バッチリ出来てます。
↓ クリックしてください。
2024年12月からの収穫をストーリーズハイライトにまとめています。
今年はさらに良くなってますから、いつもお裾分けをしている大家さんに「ご近所さんが皆白菜失敗したのに、あんたのとこはよく出来てるね〜」と言われます。
堆肥は2023年より増量してますが、鶏ふんや牛ふんの価格は安い上に大した量を使わないので、肥料のコスト上昇は全く問題になりません。
キャベツ栽培のストーリーズ動画を繋げてYouTubeへアップしました。
2023年の秋も、24年の秋も、キャベツより白菜の方が虫の被害が大きいことが分かります。
いいかい、学生さん。キャベツをな、庭に植えて無農薬で何もしないとこうなるんだ。 pic.twitter.com/bYyutESBVA
— 高橋文樹『アウレリャーノがやってくる』 (@takahashifumiki) November 21, 2024
このポストがバズってましたけど、キャベツは初期生育を防虫ネットで守ってあげれば、白菜より無農薬で育てやすいのではないかと思います。
人気農Tuberひろちゃん農園も「初期を乗り越えればわりと簡単」と言ってます(全く同意です)。
白菜と大根は、今年はダイコンサルハムシに初めて大きな被害に遭いました。
11月になってもハムシの勢い衰えず、ChatGPTと相談しながら有機JAS適合農薬で効果がありそうなものを選定しました。
たどり着いた結論はスピノサド水和剤の「スピノエース」。
これを11月3日に白菜と大根に散布しました。
結果、ハムシの成虫には効かなかったのですが、幼虫には効いたので、被害拡大を抑えることができました。
白菜はこのおかげで上手く育ったと考えています。
(注:ネオニコ系殺虫剤を使えばおそらく成虫にも効くし、家庭菜園向けの小容量低価格のものが販売されているためコストダウンできます)
今季は2株だけ、ハムシの虫害で生育初期に大きくなれずに、結球はしたものの1kg未満のサイズになってしまったものがあります。
(赤点線の外の2つは小さく分けつした白菜を収穫後も残したものです)
もっと早くスピノエースを散布しておけば、おそらく正常に育ったと思われます。
キャベツも一応散布しましたが、特にハムシの被害はなかったです。BT剤だけでOKな感じでした。
「なんとなく自然農っぽい方法を実践」から、「有機的な農法で健康的な野菜を確実に収穫する」へ意識を変えてから、収穫量は激増です。
量だけでなく、何より品質が良い。
大根は無肥料栽培時も採れてましたが、葉っぱも綺麗で柔らかく、根は太く大きくより甘いものが収穫できてます。
↑は2023年冬のかぶ。小さいし、葉も結構喰われます。
↓は2024年冬のかぶ。
雲泥の差です。このかぶは農薬もなし。1袋400円未満の種でこんなに大きく葉も綺麗な有機無農薬栽培のカブがたっぷり採れると、採算合いまくりでやめられない!という心境に変化します。15cm感覚の穴あき黒マルチに種を蒔き、初期にモグラの影響で3個くらいダメになりましたが、あとは全部立派に育ちました。
明確に「家庭菜園で採算を合わせる」と目的を持ってからスキルアップし、必要な時には農薬にも頼ると考え方をあらためた結果、家庭菜園の採算はまるで変わったという話を、私の事例で説明しました。
スーパーで買うより美味いものが食える
「栽培するよりスーパーで買うほうが安い」の主張は、事実ではないだけでなく、認識の誤りがあります。
「味」が全然違うのです。
スーパーに並ぶ野菜よりも、鮮度が抜群に良いものが食べられます。
つまり比較としても正しくない。
有機農産物は安心・安全とは何の関係もありません。
こういう疑似科学のメッセージは農水省がきちっと正さないといけないと思います。…— 久松達央 (@Kazedayori) February 7, 2025
先日、有機農家の久松達夫氏が「有機農産物は安心・安全とは何の関係もありません」とシャープに断言している様子を拝見し、興味が湧いて著書を読んでみました。
キレイゴトぬきの農業論 (新潮新書) 新書 – 2013/9/14 久松 達央 (著)
久松氏曰く、野菜の美味しさは「栽培時期、品種、鮮度」の三要素で8割決まるそうです。家庭菜園は、このうち鮮度を抜群の状態でいただくことが出来ます。
さらに品種も自分で選べます。これはスーパー購入では選べません。
久松氏は有機野菜は安心安全ではなく「より健康な野菜」であると論じています。
有機的な「生物の仕組みを活かす農法」が、より健康な野菜を作るのです。
家庭菜園で栽培技術を磨けば、抜群の鮮度のより健康的な野菜をたっぷりと食べることが出来ます。
美味しさの三要素をすべて理想に近づけることを可能にするのが家庭菜園です。
これは久松農園の野菜定期便Lサイズです(リンク)。4,360円に加えて送料がかかります。
うちはスーパーの野菜ではなく、このような美味しい有機野菜を栽培し、家族全員がたっぷりと食べることを目的としています。
この量で送料込みで5000円。よく食べる我が家6人家族は、この量が週に2回は必要です。
週に1万円、月に4万円以上かかります。
自分で栽培できれば、目的に対して買うよりコスパが良いのは明白です。
(注:決してスーパーの野菜が不味いと言ってませんし思ってもないので誤解なきようお願いします)
純労働時間に時給1,000円つけても採算は合う
例えば工場のラインで勤務したら、勤務時間中手を止めることは許されません。
調理場で仕事をしたら、ピークタイムは戦場で、それが終わっても仕込みと掃除が待ってます。
家庭菜園は、それらと全く異なる時間です。
悦子と種まき、間引き、草抜きなどをしながら、仕事や子供のことを喋っているのは日常的です。
土日に子供を外に連れ出して遊ばせるため、自然と触れるための貴重な時間でもあります(これはかなり重要)。
気候の良い時期は心地良いので、おのずと畑で過ごしたくなります。
この時間の中から純労働時間をどのように計算するのでしょうか?
食後の運動代わりに畝を1本耕したら、それは労働ですか?運動ですか?
非常に難しいところですし、「今日も会社に行きたくね〜」みたいな意識もないわけです。
さらに重要なこととして強調しますが、一連の時間から純労働的な時間だけを抽出して時給千円をつけたとしても、採算は合います。
昨夏は、姫冬瓜の苗を4つで240円購入して植えたところ、合計180個以上収穫できました。
しかも食べきれないから途中で片付けて、この個数です。放置したら200個は確実に行きました。
サイズによりますが、冬瓜1個は300円〜600円ほどで売られていました。
人件費を加算したところで、どうひっくり返っても赤字の計算は不可能ですね。
失敗することも勿論ありますが、全体としてはちゃんと黒字の収支にすることが出来ます。
なす1苗は70円〜400円ほどで売られていますが、400円の苗を買っても100本収穫できたら確実に黒字ですよね。
さらに重要なこととして強調しますが、買うだけでは得られない栽培技術が身につくのです。
これは独学しない限り、就労するか、お金を出して学ぶものですよね?
「栽培するより買った方が安い」は、きちんと収穫する意欲がある人にとっては、考えれば考えるほどおかしな主張なのです。
今の野菜高騰化で、これだけ買ったらいくらになる?という話です。
とはいえ…根本的な話として、家庭菜園から「純労働の時間」をどのように抽出するかは非常に難しい問題であり、そもそもの話として「家庭菜園に人件費」と考えることが間違っていると私は思います。
休日や仕事以外の時間に行うものであり、機会費用を考える場合は「フルタイムで働いた上に休日にまだ働くことができるのか?」という矛盾が生じますし、好きな時間に家の前で都合よくフレックスで働き、なんのノルマも義務もない仕事で時給千円以上もらえることなど、現実的にはあり得ません。
失敗すると採算が合わない
採算を合わせる気がないセラミスとLED栽培だけを行っていては、いつまで経っても赤字です。
普通に勉強して、普通にやれば、まず採算が合うようになってきます。これが結論です。
また、昔の私のように勉強せず、普通じゃない方法(極端な少肥料栽培)をしていても、いつまで経っても赤字です。
かつての私たちのようなことをやり続け、いつまで経っても「栽培するより買った方が安い」と言い続ける人がいます。
自然農系YouTuber(農家ではない)の「ちょこっと自然農」です。
彼は頻繁にSITO.のXポストをリポストしており、事情はよくわかりませんがリスペクトしているようです。
これは1月31日のInstagram投稿で(リンク)、SITO.のキャベツ栽培コスト千円投稿の流れを汲んでます。
今年で農業11年目のようですが、昨年まで『野菜育てるより買った方が安いし楽』と思ってたとのこと…
10年も家庭菜園を遥かに超える規模の広い面積で栽培を続け、「買った方が安い」であれば、10年間赤字を出し続けたという意味ですから、かなり衝撃的な発言です。
しかし彼の動画を見るとその心境が良くわかります。
この動画を参照とすると、2024年秋に植えた白菜のうち「形になったのが1割程度」という散々な結果を出しています。
その1割の中で、最も良くできたものが1700g台、良くできなかったものは700g台。
うちの白菜は、2023年も2024年も形にならなかったものはゼロです。
その中で2024年のみ、700g台になってしまったものが2つだけ出来ました。
(偽善の中身は100%悪意(キャベツ農家SITO.のネットリンチ記録pt.3))
私は栽培したほとんどの白菜を2.5kg以上で収穫しており、3kg〜4kgのものも採れます。
しかもスーパーに並ぶ白菜よりも鮮度ピッカピカの綺麗なものが出来てます。
ちょこっと自然農さんの白菜は、使用した面積の1/10がダメになり、ほとんどが「規格外」という農家が捨てるものしか出来ていません。
そうなると、たとえ自然農で肥料代と資材代がゼロでも、採算が合わない感覚に苛まれます。
私もかつてはそうだったので、その気持ちはよく分かります。
採算を合わせる気があるのであれば、ほんのわずかな肥料を入れ、スピノエースを散布するだけで、あなたの白菜は収穫量が数倍に上がったはずであるとお伝えしたい。
害虫の被害にあって大きくなれなかった白菜は、順調に育った白菜より味が良くないです。
きちんと育てることで、今よりもっと美味しい白菜を食べられることもお伝えしたい。
こちらはキャベツ成功!としてアップされている動画ですが、全体の7割が結球し、平均は1kg前後となったと報告されています。
3割をダメにして、残り7割の平均がたった1kgでは、やはりかけた時間と使用した面積に対して採算は合わないでしょう。
うちは今年は1.3kgから2.2kgのキャベツが採れ、結球しなかったものは1つもありませんでした。
ちょこっと自然農さんが「買った方が安い」と考えてしまうのは、栽培に失敗し続けているからです。
彼に栽培技術がないとは思いませんし、おそらく私よりも色々と知っているでしょう。
ストイックな自然農スタイルを続けてYouTube動画を作成し、動画収入で生計を立てるのが彼の目的であり、菜園で採算を合わせるという目的がないだけです。
まあ、ある意味彼の中では動画収入で採算が合っているのでしょうが……家庭菜園においてはタイパは目的と能力によって変化します。
一念発起の総コスト?
家庭菜園における人件費について説明してきましたが、最後に答えるのはSITO.の「人件費だけと思ってるなら残念…😢」というコメントです。
このポストは1月14日の12時43分に投稿されていますが(こちら)、肥料、資材、人件費以外にあと何を家庭菜園のコスト計算に入れるべきかを、彼は何も説明していません。
しかし、その20分前に彼の「人件費だけと思ってるなら残念…😢」の文脈と思われる投稿がポストされています。
「一念発起して家庭菜園でキャベツ育てて収穫まで持っていく総コスト」が高いのだと。
彼の意図を確認するため、引用元ポストを見てみます。
スーパーのキャベツには家庭菜園にはかからない経費がかかっているために高い、逆に言うと家庭菜園のキャベツはそれらの経費がかからないので1個1000円もかからないと言ってますね。
つまり「栽培した方が買うより安い」です。
それに対してのSITO.の回答は「買った方が栽培するより安い」でした↓。
これに対して元ポス主は「分かりやすい解説ありがとうございます!」と↓。
話が全く噛み合っていませんが、大丈夫なのでしょうか?
ポポは「家庭菜園でキャベツ1個作るのに1000円もいかない!」と明言しています。
まあ、それはいいとして…
SITO.の主張は 「一念発起して家庭菜園でキャベツ育てて収穫まで持っていく総コストが高い」です。
これは一体なんでしょうか?
彼は強い思い込みから度々噴飯物のコメントを炸裂させますが、その類の香りがします。
文字通りに読めば「一念発起(思い切ってそれまでの考えを改め、あることを成し遂げようと決意すること)」が鍵のようです。
要するに、よっしゃ自分で野菜作ったる!と決意し、それを成し遂げようとするコストが高いと言いたいのでしょうが、もう少し具体的にしましょう。
栽培を始めるために、畑を借りて、ホームセンターで鍬とシャベルなどの道具を揃えて、栽培方法を勉強するために本を買ったり図書館で借りたりYouTubeを見たり…という、収穫に至るまでのお金や時間がかかり過ぎるのだと言いたいのでしょう。
これは家庭菜園に限らず、実はなんでもそうなんですよ。
料理が不得意のため自炊をしない人が、よっしゃこれからは自炊する!と一念発起したとしましょう。
鍋、フライパン、ボール、バットなどを数種揃え、料理本やYouTubeを見て勉強するも、最初は失敗だらけで食材を無駄にしたり、あまり美味しくない料理ばかりが出来上がると。
大量にかけた時間と初期投資額の結果、誰も喜ばないマズい料理が出来上がる場合、採算はこの時点で全く合っていません。
でも、最初は誰でも似たような経験をしますよね?
裁縫をしたことない人が、自分で衣類やカバンをつくってやるぞ!と一念発起したとしましょう。
ミシンを買い、布と糸を揃え、教本を買ったものの覚えるのに時間はかかる上に失敗し、、、とまあ同じことです。
初めて挑戦することに対して、初期投資額と、ある程度習得するまでにかかる時間を考慮すると、多くのことは初期段階では採算があいません。
当たり前の話を理解できず、SITO.が家庭菜園だけは特別に採算が合わないと考えた理由はなんでしょうか?
彼はキャベツ農家だけに、少なくともキャベツ栽培を割りに合わせる方法を知っているはずなのですが…
彼がキャベツを好きではないことは、割が合わないと考えた原因かもしれません。
彼にとってキャベツは手に入れたいものではないので、採算が合うとは感じにくいでしょう。
(それ以前に栽培方法に大問題があるという話が前提です)
SITO.の要求に応えましたが?
これで終わりです。
論理的に説明しましたが、人に要求するだけしておいて、このまま逃げる気でしょうか?
ここに至った経緯は以下のブログに詳しく買いてあります。
「家庭菜園デマを私に指摘されてムカついたから印象操作で炎上を誘導した」のが真実ですが、何か誤認があるならば私のブログを引用してきちんと説明して欲しいですね。
メロン王子とZOOMで対談します
SITO.は私と悦子から逃げ続け、実は振動も騒音も取説も関係なかったと意見を変え続けていますが、それでも尚、SITO.もその周辺の炎上に加担した人間も正当であり、悪いのは藤原であると明言する農家がいます。
最近連続して当ブログに登場しているメロン王子こと富岡ユウト(@5_daime_lon)です。
そして彼と、この炎上についてZOOMで公開討論をする機会の承諾を得ました(こちら)。
今後、私の炎上ポストに表示されたコミュニティーノートの不適切性を説明する記事を書く予定です。
それが炎上の真実を解説する最後のブログとなりますが、私は4月1日のセミナーの準備に時間を割かねばならないので、公開討論はその後になります。
炎上誘導と集団ネットリンチを正当化し続ける人間は何を考えているのか?
当事者から生の声を聞ける貴重な機会となるかと思いますので、ご期待ください。
もちろんSITO.にもこの場を借りてお誘いをかけておきますので、我らこそ正しいと思うX慣行農家の皆さんは彼の背中を押してあげてください。
【草刈機を使用すると高確率で怪我をするという誤解について】
昨夜イモメロン王子が「農作業において刈払機は事故原因No. 1」と以下資料を提示してきたので、この機に皆さんの誤解を解くための確率計算をしておきます。
結論としてX農家が私を責める動機はただの誤認です。https://t.co/2AAz3c1qtn
— 藤原悠馬 (@honoiro2021) March 4, 2025
どうでもいいで正解ですよ。マジでほっとけやという話。
リアルワールドでは子供が無事産まれて超元気にしている事実の前に「出産直前に、充電式草刈機を使っただと?…このDV親め!!」というアホは存在しません。
君らXの外では奇人やで? https://t.co/kt2JxaQyc6
— 藤原悠馬 (@honoiro2021) March 7, 2025
①私は農家ではないから労働として草刈りをすることはない。
それをわざわざ関係ない他人の写真を勝手に使用し、DV夫風に炎上をしかけたのがSITO.氏。
他人の「ほかっとけよ」ってことを、事実と湾曲して投稿。
その根源は単に「むかついた」から。https://t.co/Dh4S6JQ5hj
— 藤原悦子 (@fujiwaraetsuko1) March 8, 2025
キャベツ農家SITO.のネットリンチ記録
2025.01.26 過激な慣行農家と現代医療派の深い闇(キャベツ農家SITO.のネットリンチ記録pt.1)**
2025.01.29 メーカーが妊婦の草刈機使用を禁止?(キャベツ農家SITO.のネットリンチ記録pt.2)**
2025.02.17 偽善の中身は100%悪意(キャベツ農家SITO.のネットリンチ記録pt.3)**
2025.02.23 誰もが無自覚に陥るエコーチェンバーとフィルターバブル **
2025.03.01 有機野菜vs慣行野菜〜環境に優しいのはどちらでしょうか?**
2025.03.08 資材費を含めた家庭菜園の栽培コストを計算しました **