論文の1コや2コで動揺したり大騒ぎするのはやめましょう

今回の記事は、コロナ否認主義者(陰謀論者)が流布する論文はやっぱりだいたいダメなんだと、確認作業となるでしょう。ここまで最初から読んでくださっている皆様には、軽く読みこなせる内容かと思います。

 

−−目次−−

・不正引用とチェリーピッキングに満ちているマスク有害論

・1個の論文だけを見て騒いだり動揺するのはやめましょう

 


新型コロナウィルス感染症「まじめに論文チェックシリーズ」

★    崎谷博征氏のフェイスブック投稿「やはりマスクは危険である」(リンク

1. 「マスクで低酸素血症にはならない」〜崎谷博征先生、マスクが危険って本当ですか?その1〜(リンク

2. 【全文和訳】マスクは危険のエビデンス論文【読んでみよう】リンク)←この論文を査読しています。

3. 「リファレンスを読もう!」〜崎谷博征先生、マスクが危険って本当ですか?その2〜(リンク

4.「科学的にマスクを知る(前編)」〜崎谷博征先生、マスクが危険って本当ですか?その3〜(リンク

5. 「科学的にマスクを知る(後編)」〜崎谷博征先生、マスクが危険って本当ですか?その4〜(リンク

6. 「筋が通っているのが科学」〜崎谷博征先生、マスクが危険って本当ですか?その5〜(リンク

7. 「マスク有害論はヒステリー」〜崎谷博征氏、マスクが危険って本当ですか?最終回〜 (リンク

8. 「インフォデミックを理解しよう」 〜マスク論文の拡散を時系列で整理〜 (リンク

9. 論文の1コや2コで動揺したり大騒ぎするのはやめましょう(この記事です)


 

予告した通り、この文献のレビューを軽く行います。

 

タイトル、掲載ジャーナル、著者情報はこちらです。

 

Kai Kisielinski et al.
Is a Mask That Covers the Mouth and Nose Free from Undesirable Side Effects in Everyday Use and Free of Potential Hazards?
口と鼻を覆うマスクには、日常的に好ましくない副作用と潜在的な危険性が無いか?
Int J Environ Res Public Health. 2021 Apr 20;18(8):4344.
PubMed:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33923935/

 

以下に、論文の根幹となっている部分をピックアップします。

 

“2005年には、健康な医療従事者(被験者15名、18~40歳)にサージカルマスクを装着すると、30分後に経皮的な二酸化炭素の値が上昇し、測定可能な身体的影響をもたらすことが実験的な論文(無作為化クロスオーバー研究)で証明されています[13]。”
 
“着用者の血中二酸化炭素(CO2)濃度の上昇(p<0.05)[13,15,17,19,21,22,23,24,25,26,27,28]に加えて、しばしば実験的に証明されてきたマスクのもう一つの結果は、血中酸素飽和度(SpO2)の統計的に有意な低下(p<0.05)です[18,19,21,23,29,30,31,32,33,34]。血中酸素分圧(PaO2)の低下とそれに伴う心拍数の増加(p < 0.05) [15,23,29,30,34]、および呼吸数の増加(p < 0.05) [15,21,23,35,36]が証明されています。”
 
“これらの現象は、手術用マスクを装着した20人の健常者を対象とした別の実験でも再現された。マスクをした被験者は,心拍数(p < 0.001)と呼吸数(p < 0.02)の統計的に有意な増加を示し,それに伴って経皮的二酸化炭素PtcCO2の測定可能な有意な増加(p < 0.0006)が見られた。また、彼らは運動中に呼吸困難を訴えていた[15]。”

 

Vainshellboimと同様に、マスクで低酸素血症になってしまうかのような印象がありますね。

不正引用とチェリーピッキングに満ちているマスク有害論

では検証していきましょう。きちんと論文を読めば、実態を正しく把握できます。

 

“2005年には、健康な医療従事者(被験者15名、18~40歳)にサージカルマスクを装着すると、30分後に経皮的な二酸化炭素の値が上昇し、測定可能な身体的影響をもたらすことが実験的な論文(無作為化クロスオーバー研究)で証明されています[13]。”

 

普通の不織布マスクをつけると、30分後には二酸化炭素が体内に増えると。「経皮的な二酸化炭素の値」と書いてありますが、こんなやつですね。

 

(画像引用:IMI

 

指先で測定するパルスオキシメーターもそうですけど、経皮でも血液の酸素、または二酸化炭素濃度と一致しますので、測定方法に関しては問題ありません。

 

【マスク着用で高二酸化炭素血症になるの根拠としている文献13番】

(1) Butz U. Ph.D. Thesis. 
“Fakultät für Medizin der Technischen Universität München; Munich, Germany: 2005. Rückatmung von Kohlendioxid bei Verwendung von Operationsmasken als hygienischer Mundschutz an medizinischem Fachpersonal. “
(医療専門家の衛生的なフェイスマスクとしてサージカルマスクを使用する場合の二酸化炭素の再呼吸)
ミュンヘン大学のリポジトリに掲載

 

マスク着用で高二酸化炭素血症になるの根拠としている文献13番の論文は、ミュンヘン工科大学麻酔学研究の研究のようですが、ドイツ語のPDFでしか読めず、ミュンヘン工科大学のリポジトリ(大学の文献保管ページ)にのみ掲載されています。PubMedにも掲載されておらず、つまり公式に出版されているものではありません。

 

公式に出版されておらずとも、内容に妥当性があれば問題はないです。

 

 

しかし困ったことに、論文は重要なデータが全てバツ印付きで非表示となっており、確認できません。

 

これではエビデンスとして不適格ですね。「マスク着用で高二酸化炭素血症になる」と、この文献をもとに主張することは難しいでしょう。

 

では次。

 

“これらの現象は、マスク着用者の二酸化炭素(CO2)血中濃度が統計的に有意に増加する原因となっており[19,20]”

 

マスク着用者の血中CO2濃度が優位に増加するという主張ですね。文献は19番と20番の2つです。

 

【マスク着用で高二酸化炭素血症になるの根拠としている文献19番】
 
(2) Terri Rebmann et al.
“Physiologic and other effects and compliance with long-term respirator use among medical intensive care unit nurses”
(医療用集中治療室の看護師における生理学的その他の影響と長期呼吸器使用のコンプライアンス)
Am J Infect Control. 2013 Dec;41(12):1218-23.
 
 

これはICU(集中治療室)の看護師が、N95マスクを付けるか、またはN95マスクの上にさらにサージカルマスクを重ね付けして、12時間ほど着用して生理学的な悪影響が出るかを調査した研究です。

 

 

N95マスクはピッタリとフィットさせて利用する医療用のマスクで、着用すると息苦しさや不快感を生じます。これは一般的に知られていることです。ですから、感染症患者を扱う医療従事者が利用するもので、一般人は使いません。N95マスクにさらに不織布マスクを重ね付けする完全防護体制で、それでも看護師の健康に問題が起きないかどうかを見ている研究ですね。

 

結果は、特に重ね付けの場合に体内の二酸化炭素濃度が上昇しましたが、それでも正常値の範囲内でした。これが唯一の生理的なマイナスの変化であり、生理学的な観点から見て、本研究の看護師が呼吸器保護具を長期的に使用しても、悪影響はないことが証明された。と結論づけられています。

 

Vainshelboimのマスクで低酸素論文も同じだったのですが、マスクの有害事象を論文から無理やり探そうと思っても、N95の着用か、運動中のマスク着用くらいしかエビデンスがありません普通のマスクの着用では、有害事象が起きないからです。

 

ということで、文献19番も不適切な引用でした。

 

では次。

 

【マスク着用で高二酸化炭素血症になるの根拠としている文献20番】

(3) Jared T Roeckner, et al.
“N95 Filtering Facepiece Respirator Use during Pregnancy: A Systematic Review”
(妊娠中のN95マスクの使用。システマティックレビュー)
Am J Perinatol. 2020 Aug;37(10):995-1001. 

 

妊娠中の女性へのN95マスクの使用を検討した研究です。N95ですから、一般人のサージカルマスク、または布マスクの使用について検討できません。さらに「妊娠中の限られた期間のN95FFRの使用は、妊娠中の女性やその胎児にリスクを与える可能性は低い」と結論付けられています。

 

文献20番もまた、不適切な引用でした。

 

次行きましょう。

 

“着用者の血中二酸化炭素(CO2)濃度の上昇(p<0.05)[13,15,17,19,21,22,23,24,25,26,27,28]に加えて、”

 

エビデンスとしての文献を大量に付けていますが(崎谷博征氏のように、、、)前述の不適切な13番と19番が含まれています。この時点で期待できませんが、15番を見てみましょう。

 

【マスク着用で高二酸化炭素血症になるの根拠としている文献15番】

 
(4) Raymond J Roberg et al.
“Absence of consequential changes in physiological, thermal and subjective responses from wearing a surgical mask”
(サージカルマスク装着による生理的、熱的、主観的な反応の変化はない)
Respir Physiol Neurobiol. 2012 Apr 15;181(1):29-35. 
 

20名の被験者が、サージカルマスクを装着した場合と装着しない場合で、時速5.6kmで1時間のトレッドミル運動を行った研究ですね。1時間の早歩き運動という感じでしょうか。

 

(画像引用:メディカルオンライン

 

オープンアクセスでは無いのでアブストラクト(概要)しか読めませんが、二酸化炭素が2.17mmHg増加したと書いてあります。動脈のCO2正常値は35〜45mmHgですから、正常値範囲に収まっていたと考えられるでしょう。従って、「サージカルマスクを低~中程度の作業量で1時間使用しても、臨床的に有意な生理学的影響や、主観的に有意な労作感や暑さ感とは関連しない」とこの論文は結論付けています。

 

ということで血中の二酸化炭素濃度が上昇するのは確かに本当でしたが、運動をしてますから当たり前です。そもそもWHOは運動中はマスクを外してくださいとアナウンスしています(ブログその1参照)。さらに、上昇の値は全くの正常値と見られます。

 

これも引用が不適切でした。運動中のマスク着用の研究なのに、あたかも普通にマスクをしていると血中二酸化炭素濃度が上昇してしまうかのような書き方をしています。これを不正な引用、またはチェリーピッキング(前回の記事参照)と言います。

 

はい、二酸化炭素濃度上昇に関するエビデンスは3つ確認して、3つダメなんで、次行きましょう。

 

【マスク着用で低酸素血症になるの根拠としている論文】

“しばしば実験的に証明されてきたマスクのもう一つの結果は、血中酸素飽和度(SpO2)の統計的に有意な低下(p<0.05)です[18,19,21,23,29,30,31,32,33,34]。血中酸素分圧(PaO2)の低下とそれに伴う心拍数の増加(p < 0.05) [15,23,29,30,34]、および呼吸数の増加(p < 0.05) [15,21,23,35,36]が証明されています。”

 

これはマスク着用者の血中酸素飽和度が統計的に優位に低下してしまうという話ですね。ブログ「その1」で、私は「通常のマスク着用において血中酸素飽和度の低下は起こり得ない」と書きました。

 

そのあり得ない主張のエビデンスとして文献19番(2) が含まれていますが、これはN95マスク着用の研究でした。

 

論文内には「BMIが高い看護師は、いずれかのタイプの呼吸保護具(N95のみ、または+マスク付)を着用している間、O2レベルが低く、心拍数が高くなりました」という記述が確かにあるのですが、正確には「太っている看護師がN95マスクを着用すると、結論として生理的悪影響は無いくらいのレベルで僅かに血中の酸素飽和度が下がった」という結果であり、普通のマスクを着用して低酸素になってしまうと言えるものではありません。

 

これも不適切な引用ですね。

もうだんだんと馬鹿馬鹿しくなってきましたが、文献18番も見てみましょう。

 

【マスク着用で低酸素血症になるの根拠としている文献18番】

(5) Fernando Pifarré, et al.
“COVID-19 and mask in sports”
(スポーツにおけるCOVID-19とマスク)
Apunts Sports Medicine. 2020 October-December; 55(208): 143–145.

 

タイトルで分かる通り、スポーツとマスクの研究ですね。腕立て伏せを行って測定しています。しつこくなりますが、WHOや厚労省は運動中にマスクを外せと言ってます。

 

この引用も「一般的な意味合いにおいてマスクを着用して低酸素血症になる」という主張のエビデンスに利用するには不適切ですね。

 

「運動中のマスクは危険である」という主張であれば、問題ありませんが……….

 

 

(画像引用:Desertcart

 

他にも、高地トレーニングマスクに関する研究論文(6)を引用して、

 

“血中の酸素飽和度がマスク着用群は有意に下がった。これはマスク着用における臨床的な低酸素との関連性を示す”

 

などと書かれています。高値の低酸素環境をつくるためのマスクだから、それは当然ですよね。

 

なぜ、通常のマスク着用の危険性を知るために、「あえて酸素を遮断するためのトレーニングマスク着用におけるアスリートの研究論文」を利用するのか、、、普通に考えて疑問が湧きますが、論文の著者らは「マスクが有害である」という結論ありきでエビデンスを集め、文章を書いています。

 

結論ありきで都合よく論文の解釈をねじ曲げ不正な引用を行うことを、チェリーピッキングと言います。前回の記事で説明しているので、確認してください。

 

インフォデミックを理解しよう 〜マスク論文の拡散を時系列で整理〜

 

もう十分だと思いますが、、、もう1個くらい、論文内の別のパートから、マスクの有効性について検証してみましょう。

 

“エビデンスに基づく医療という科学的に確立された基準に反して、国内外の保健当局は、公共の場でのマスクの着用を強制することで安全性を誤魔化しているにもかかわらず、その理論的評価を発表している[5,112,143]。”

 

“ごく最近のデータでは、SARS-CoV-2感染の検出は、人気のあるマスクの使用とは直接関係がないようだということを示唆していることは、言及しないわけにはいかない。あるレトロスペクティブな比較研究で調べられたグループ(SARS-CoV-2に感染したグループと感染していないグループ)では、マスクを使用する習慣に違いはありませんでした。両グループの被験者の約70%が常にマスクを着用し、さらに14.4%が頻繁にマスクを着用していました[143]。”

 

143番(7)はCDCが出版した論文ですね。ここでは「CDCがマスク着用の安全性を誤魔化して、なおかつ感染防御に意味がないのにマスク着用を強制している」と主張しています。

 

安全性に関する低酸素血症とか、高二酸化炭素血症に関しては、論拠が不正引用とチェリーピッキングばかりであることは既に説明しましたので、安全性に関する著者の主張を確かめてみましょう。この文献143番に書かれている内容の要約は以下です(7)。

 

文献143番の要約

このテーマについて既に知られていることは?
地域社会や密接な接触による曝露がCOVID-19の拡散に寄与している。

この報告書によって何が追加されたか?
米国の11の医療施設の症状のある外来患者を対象としたケースコントロール調査の結果、COVID-19が判明している人との密接な接触や、その場で飲食ができる場所に行くことが、COVID-19陽性と関連していることがわかりました。SARS-CoV-2検査結果が陽性の成人は、SARS-CoV-2検査結果が陰性の成人に比べて、レストランで食事をしたと報告する割合が約2倍であった。

公衆衛生の実践にどのような意味があるのか?
SARS-CoV-2感染のリスク要因として,飲食店での食事が重要である可能性がある.顧客,従業員,地域社会を守るために,飲食時のようにマスクの使用やソーシャルディスタンスを保つことが困難な場所での曝露の可能性を低減するための取り組みを検討すべきである。

 

陽性の人は陰性の人よりも、マスクを着用できないレストランで食事をしたと報告する人が2倍多かったので、マスクの着用やソーシャルディスタンスを保てない場所での感染対策が必要ですよという報告です。

 

まあ、これも不正引用ですね。いちいち説明をするのが馬鹿らしくなります。

 

ということで結論を出すにはもう十分でしょう。

 

 

深刻な弊害などまったく確認されていませんでした。

異論はないはずです。

 

あ、異論がある方は、問い合わせフォームから、またはSNSからメッセージくれたら対応しますよ(笑)

 

「マスク着用で持久走をした子供が大阪で1人死んでるじゃないか!」みたいなヒステリーは却下しますが、この論文の妥当性を論理的に検証くだされば、喜んでブログで取り上げ、対応させて頂きます。

 

 

インフォデミックを理解しよう 〜マスク論文の拡散を時系列で整理〜」で図解しましたが、今回も、欧米の反ワクチンサイト(The Tatty Journal)のブログ記事が、そのまま日本に流し込まれているだけです。

1個の論文だけを見て騒いだり動揺するのはやめましょう

私は皆さんに強くお伝えしたいことなんですが、1個の論文だけを見て動揺するのはやめましょう。これは書籍でも同様です。

 

1個と書きましたが、2個でも3個でも一緒です。ここまでたくさんのマスクに関する研究を紹介してきました。それに対して、1個はもちろんのこと、2、3個の論文で「マスクは有害!」と決めつけるのは、何も考えていない事と一緒です。

 

SNS世代の悪い傾向だと思いますが、テレビで流れていない情報を見るだけで、ましてそれが「論文」となると、論文を読まない人ほど真実を掴んだかのような錯覚に陥っています。

 

センセーショナルな結論を出している論文を見つけたときに、

 

日常的に論文を読む人 →  全文を確認した後、類似の研究を探して比較する。

日常的に論文を読まない人 →  科学的に証明されているのだとすぐさま思い込む。

 

このような反応に分かれます。

 

web翻訳精度の向上により英語によるハンディキャップは7割以上解消されていますから、ひと呼吸おいて、ひと手間かけて、論文をリファレンスまで読みましょう。他の研究論文を探しましょう。

 

このマスク有害論文は、「International Journal of Environmental Research and Public Health(環境研究・公衆衛生の国際ジャーナル)」というジャーナルから発表されています。

 

同誌の中にも、マスクの有効性を示すような研究が発表されています。

 

(8) Keely Shaw et al.
“Wearing of Cloth or Disposable Surgical Face Masks has no Effect on Vigorous Exercise Performance in Healthy Individuals”
(布製または使い捨てのサージカル・フェイス・マスクの着用は、健常者の激しい運動パフォーマンスに影響しない)
Int J Environ Res Public Health. 2020 Nov 3;17(21):8110.

これはタイトル通り、布マスクや不織布マスクの着用で激しい運動をしても、健常者には悪影響がなかったと報告する論文です。

 

(9) Luciano Bubbico et al.
“Community Use of Face Masks against the Spread of COVID-19”
(COVID-19の拡散に対するコミュニティでのフェイスマスクの使用について)
Int J Environ Res Public Health. 2021 Mar 19;18(6):3214.

 

こちらは寒冷期にはマスクを屋外でも着用した方がいいのではないかと書かれています。理由は、口腔、鼻腔内の温度と湿度が保たれると、ウィルスに対する私たち自身の免疫機能が高まるからです。

 

特に鼻腔は、冬は結構冷えますからね。暖かくしていると血流も良くなりますし、寒冷ストレスによるストレス反応(コルチゾールやアドレナリンの分泌)による免疫低下も防げます。

 

マスク有害論に頭が染まっていると、マスクでの呼吸の息苦しさや、洗わないことによる細菌の繁殖ばかりに意識が向いてしまいますが、寒冷期には逆に保湿、保温によるメリットとなり得るのは、よく考えると納得ではないでしょうか?

 

この論文ではマスクのメリットばかりでなく、皮膚炎への悪影響のデメリットについても言及されています。つまりマスクは必要、不要、または有害、無害の二元論ではなく、公平にレビューがなされています。

 

私も散々マスクについて調べる中で、マスクが唯一健康にデメリットを与えるのは、皮膚に問題を抱える人に対する皮膚炎の悪化だと同意します。

 

皮膚炎を起こしやすいのは、布よりも不織布のマスクなので、ここで布マスクに関する研究が役に立ってきます。基本的には3層でフィット感さえ良ければ、不織布のマスクに比べて布マスクの機能が著しく劣ることはないはずです。

 

Int J Environ Res Public Healthから2つの論文を紹介しましたが、Medical Hypothesesからも1つ紹介します。(※Medical Hypothesesが何か分からない方は最初の記事を読んでください。)

 

(10) Deepak Gupta
“”Therapeutic” facemasks”
(治療的フェイスマスク)
Med Hypotheses. 2020 Oct;143:109855. 

 

論文タイトルは「治療的フェイスマスク」。内容は、先ほど述べたのと同じくして、鼻腔、口腔内がマスク着用によって高温湿潤を維持できると感染防御に良いのではないかという短めのレビューでした。

 

と、いうことで……..もう論文の1つや2つ、3つや4つでも、すぐに鵜呑みにして大騒ぎするのは馬鹿らしいことなんだと、きっと理解してもらえたと思います!

 

本当のことを知りたかったら、たくさんの論文(や書籍)を読むことを避けられません。それは、たくさんの意見に耳を傾けるということです。専門的な分野であれば、少し勉強が必要になります。それも、自分の知らない分野についての意見を聞こうと思ったら、必要な勉強です。

 

いくらたくさんの情報を見たところで、結論ありきの思考で読めば、文章を容易に誤読します。思い込みや主観を捨てることも必要です。

 

そのような努力をしないで、自分と異なる考えとか、知らないことを理解するのは無理です。

 

たくさんの意見に耳を傾けるための努力ができない、努力する気のない人達が、コロナに限らず世の中の様々なことに対してヒステリーを起こしたり、結論ありきの情報のチェリーピッキングで世の中を混乱させているでしょう。

 

あまりに革新的な結果を出す論文の場合、世の中に類似の研究が存在していませんので、比較が出来ません。したがって論文の数で正解が決まるということは決して無いのですが……この馬鹿げたマスク有害論を主張する私が分析した2つの研究に関しては、中身を読めば偽物と判断できるはずですよね?

 

さて、次回は、、、なぜこのような馬鹿げた論文がぽんぽこ出版されているのか、という問題について説明をしていきたいと思っています。

 

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詳細はただいま検討中ですが、こちらにアップデートします。しばらくお待ちください。

 

参考文献

(1) Butz U. Ph.D. Thesis. 
“Fakultät für Medizin der Technischen Universität München; Munich, Germany: 2005. Rückatmung von Kohlendioxid bei Verwendung von Operationsmasken als hygienischer Mundschutz an medizinischem Fachpersonal. “
(医療専門家の衛生的なフェイスマスクとしてサージカルマスクを使用する場合の二酸化炭素の再呼吸)
ミュンヘン大学のリポジトリに掲載

(2) Terri Rebmann et al.
“Physiologic and other effects and compliance with long-term respirator use among medical intensive care unit nurses”
(医療用集中治療室の看護師における生理学的その他の影響と長期呼吸器使用のコンプライアンス)
Am J Infect Control. 2013 Dec;41(12):1218-23.

(3) Jared T Roeckner, et al.
“N95 Filtering Facepiece Respirator Use during Pregnancy: A Systematic Review”
(妊娠中のN95マスクの使用。システマティックレビュー)
Am J Perinatol. 2020 Aug;37(10):995-1001. 

(4) Raymond J Roberg et al.
“Absence of consequential changes in physiological, thermal and subjective responses from wearing a surgical mask”
(サージカルマスク装着による生理的、熱的、主観的な反応の変化はない)
Respir Physiol Neurobiol. 2012 Apr 15;181(1):29-35. 

(5) Fernando Pifarré, et al.
“COVID-19 and mask in sports”
(スポーツにおけるCOVID-19とマスク)
Apunts Sports Medicine. 2020 October-December; 55(208): 143–145.

(6) John P Porcari  et al.
“Effect of Wearing the Elevation Training Mask on Aerobic Capacity, Lung Function, and Hematological Variables”
(高地トレーニングマスクの装着が有酸素運動能力、肺機能、血液学的変数に及ぼす影響について)
J Sports Sci Med. 2016 May 23;15(2):379-86. eCollection 2016 Jun.

(7) Kiva A Fisher et al.
“Community and Close Contact Exposures Associated with COVID-19 Among Symptomatic Adults ≥18 Years in 11 Outpatient Health Care Facilities – United States, July 2020”
(11の外来医療施設における18歳以上の症状のある成人のCOVID-19に関連する地域および近距離接触者の曝露-米国、2020年7月)
MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2020 Sep 11;69(36):1258-1264. 

(8) Keely Shaw et al.
“Wearing of Cloth or Disposable Surgical Face Masks has no Effect on Vigorous Exercise Performance in Healthy Individuals”
(布製または使い捨てのサージカル・フェイス・マスクの着用は、健常者の激しい運動パフォーマンスに影響しない)
Int J Environ Res Public Health. 2020 Nov 3;17(21):8110.

(9) Luciano Bubbico et al.
“Community Use of Face Masks against the Spread of COVID-19”
(COVID-19の拡散に対するコミュニティでのフェイスマスクの使用について)
Int J Environ Res Public Health. 2021 Mar 19;18(6):3214.

(10) Deepak Gupta
“Therapeutic” facemasks”
(治療用フェイスマスク)
Med Hypotheses. 2020 Oct;143:109855. 

 

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