昨日、思い立って「速読術」のセミナーへ参加してきました。
これ、宣伝動画です。
怪しさ満載なんですけど(笑)
夜開催で晩御飯作ってから行ける時間だったし、まあ騙されてもいいかなと思い。
結果、ああやっぱり…という内容でした。
で、ちょっと思うところありましたので、ブログにします。
今回セミナーへ参加して社会勉強になったことは
- 「読む」という行為の捉え方が、世間一般と僕は大きく違う
ということでした。
あとは、セミナービジネスの雛型ですね。この2点について、参考にしていただければと皆さんにレポします。
1回のレッスンでも2倍以上の読書スピードになるという触れ込みでした。セミナー冒頭でも、このセミナーは一般的な速読では決して出せない実績を出せる「従来とは全く違う別物」だと主張されておりました。
ここに画像貼って気がつきましたけど「全額返金保証」なんてあったんですね。そんな話、一切出てこなかったです(笑)
僕も、結果は3倍以上に読書スピードが上がったとお伝えいただきました。
で、この体験会だけでも読書スピードが上がったので、賞状を送ってくれると(笑)
なんのこっちゃ(^_^;)
「瞬読」セミナーの流れ
まず「右脳を使って読むんですよ〜」的な説明から始まり。
ここ数年のセミナービジネスで絶対出てくるコレ。
潜在意識を活性化させましょうと。
皆さん、眠ってる能力があるんですよと。
それは方法さえ知ってれば、使いこなすことが出来ますと。
この画像を使っている人の発信は、多かれ少なかれ詐欺が入っているので注意してください(笑)
そして、最初に現段階での読書スピードを測ります。
これを読み終わったら手を上げる。
そして、1分あたりの読書スピードを記入(僕は923文字でした)。
その文章を読んだ後に、内容を読めているか確認する問題が用意されていました。
この問題は、文章を読む前に参加者はすでに確認しています。
この問題に解答する事を前提として、文章を読み、完読したスピードを測っています。
そして、セミナーに入ります。
ざっくり言うと、1行ずつではなく、2行、3行、4行とまとめ読みしていきます。
それをするにはイメージで捉えるしかないので、だから右脳を使いましょうと言っているのでしょう。
タブレットでほんの一瞬表示される文字を読み取る練習をしながら、セミナーは進行されます。
文字が円上に並ぶと読みやすいのに、行で表示されると読みにくいとか、平仮名が最も読みづらいとか、面白い所はありました。
タブレットで練習したら、次は紙の本を読みます。用意されていたのはこちら。
他にもう1冊ありましたけど、一番数が用意されていたのはこの2冊です。
そして、この本でのまとめ読み練習をした後に、またこの本を引き続き利用して、読書スピードを測ります。
そして、僕は最初1分あたり923文字しか読めなかったのが、2960文字になりましたよと、記録されました。
突っ込みどころがいっぱいあります(^_^;)
1. 最後の読書スピードアップには内容確認テストがない
最初の読書スピード測定では、その後に内容を読めているかのテストがありました。
しかし最後の読書スピード測定には、内容確認テストがありません。
だから読んだ内容が頭に入っているのか、わからないはずです。
2. 用意されている本が、たとえ読んだことがなくても想像がつく内容。しかも簡単。
僕は西野さんの本も、ホリエモンの本も読んだことがありません。しかしネットなどで散々話題になっていて、どこかしらで彼らの意見を読んだことがあるので、非常に読みやすいです。文字も大きいし、テレビを見るような感覚で読めるレベルです。
ちゃんと読めているかを確認するために、読んだ本の内容を1人ずつシェアする時間がありました。これを持って、「ちゃんと皆さん読めてますね!頭に入ってますね!」と講師さんはおっしゃるのですが、もし本の内容に関して細かいところを質問すれば、全員が答えられない内容があるはずです。
僕なんかは西野さんにもホリエモンにも興味がないので、読んだ端から内容忘れちゃうんです。でもシェア時間には一応何か答えられます。だって、どんな事を言ってるのか、ネットなどでなんとなく知ってるから。
しかも、最初は質問内容を確認して、「ちゃんと読まなければならない」という意識で読まされているのに対して(=だから読むのがゆっくりになる)、最後の測定は、あとで内容をシェアさせられるとは知らされずに、どれだけ早く読めるようになったか確認しましょう!という流れで読まされてます。
そもそも、練習で読んだ本の続きを「どれだけレベルアップしたかの測定」でまた読むわけで。
(僕はそれじゃあ読めたか分からないじゃないかと思ったので、本番は西野からホリエモンに変えました。)
さらに、ページ数でざっくり文字数がカウントされていたようでした。文字数をカウントしているわけではない。
なかなかびっくりするほどいい加減です。
これで読める文字数が増えなかったら、逆におかしい(笑)
本講座への勧誘
これは体験会でしたので、セミナー後に本講座への勧誘がありました。
90日間集中プログラムで、必ず成果が出ると。
講師さんの本を読むだけでは「ぶっちゃけ出来るようにならない」と仰ってました(笑)
気になるお値段ですが本当は258000円なんですけど、今クレジットカードで決済すると、198000円。
その価格差、なに?(笑)まあこれも、雛型ですよねぇ。。。
金を出すことに、考える隙を与えない。考え直したら、やっぱおかしいよなって思っちゃいますもんね(笑)
でも6人くらい申込書に名前書いてましたね。驚愕〜((゚Д゚;))
この体験会ですら1万円してます。本を買った人は8000円。
これも非常に上手です。入り口でも安すぎない、でもギリギリ出せる金額設定をして、容易に内容がネット上に漏出するのを防ぎ、参加した人達の意欲を高めます。
講師さんに質問しました 〜瞬読セミナーのカラクリ〜
セミナー後に本講座参加への検討にあたり、質問があれば何でもどうぞと仰っていたので気になる事を聞いてみました。
僕「宣伝動画のような子供のスピードで読むには、結局今日の体験会の内容の延長線上ってことになるんですか?」
先生「そうです」
僕「先生は、あの驚異的な子供のスピードで読めるんですか?」
先生「読めません!私はあの本(西野さん)で5分〜10分くらいはかかりますね。」
僕「西野さんの本だと内容が簡単で読みやすいじゃないですか?難しい本だと?」
先生「小説なんかは30分とか40分とか、かかります。でも、どう読みたいかなんですよ!」
「たとえば、今日は小説の作家さんと今日お会いするなどのケースであれば、じっくり時間をかけて読みますよ」
というお返事でした。
つまりこういうことです。
- 内容をしっかり把握したければ読むのに時間が結局必要
- それですら、なんども練習しなくては出来ない
結局のところ、何度も読んで、パターンのようなものが記憶に定着するので、読めるようになるという話です。
「練習」と「記憶」に全てがかかってます。別に何かここに魔法が存在しているわけではない。
多分野にわたって本を読む人って少ないです。ビジネスマンなら、ビジネス書や自己啓発書ばかりを読みます。
そこに書いてあることって、誰が書いても非常に似通ってます。同じような事を、違う著者さんが違う切り口で書いてるだけ。
同じようなことって、だいたい内容が想像もつくし、適当に読み飛ばしても中身が分かるようになります。
もしこの速読会に用意された書籍がキンコン西野さんではなく、細胞レベルの代謝に関する書籍であれば、僕がぶっちぎりで誰よりも早く、驚異的なスピードで読み上げ、内容もしっかり間違いなく書き出せたと思います。
本当にコレだけの話です。子供は物語をよく読むと思いますが、それもやはり似通ったパターンがあり、慣れれば早く読めるようになります。
あと、動画の子供たちは、絶対細かいところは把握できてないです(笑)
結局は「あらすじ」しか掴めない。「あらすじ」は3分で読めて、99%忘れない精度で内容をアウトプット出来たとして、そこに何の意味があるでしょうか?
「速読」は今の世の中のニーズを表している
このセミナーで理解したことは、「速読」とは今の世の中のニーズを表しているんだなと。
「あらすじ」レベルの浅い知識で十分だし、歓迎されるんです。
SNSの登場で、読み手はバカになって、発信側もそれを利用するようになりました。
実質的な価値がなくても、真実など含まれなくても、分かりやすく、感情に訴えかけて読者を満足させる。
↑びっくりするくらい内容が薄かったです。
こういう本に慣れた頭では、僕のブログやセミナーは意味不明だと思います。
健康関係だと、とにかく「分かりやすく」というのがウケます。
たとえ、致命的に内容が間違っていたとしても(笑)
ま、あえてどんな本かを出すのはやめておきますが、2000円以内で買える、200ページ以下の一般書に買う価値のある本は非常に少ないです。
そういう本を、ザーッと読み倒して、世の中を知った気になり、博学気分に浸って、浅い知識を持って、浅い知識すら持たない人々を鴨にして、金を儲ける。
これが速読術の最大の意義かなと。
あ、辛口になってきちゃった 笑。
「読む」行為の先に目指すものは何でしょうか?
読むという行為が
読んで
概要を知って
終わり
で良いのであれば、速読をする意義があるのかもしれません。
膨大な数の情報の「表面」だけを知るので良いのであれば、です。
でもね、深い部分にこそ、人を成長させる、大事な何かがあります。
健康のことであれば、深い部分にしか真実は存在しません。
その深い部分とは、多くの人々が勉強することを怠る「基礎」であることが多いです。
1ページを開きながら、代謝経路を眺めながら、何時間でも考えます。そこから発見したり、本質的に理解を得られたり。
時間をかけて丁寧に理解したことは、確かな知識の基盤を作ってくれます。
論文を読むのも同じことで、膨大な論文を読んで、その「数」とか、「エビデンスレベル」で結論が正しいか正しくないかを決めるような感覚は僕にはありません。
常に実験モデルと現実には相違があります。
その相違を埋めるには、やはり基礎の知識が大事ですし、速読的にいくらたくさんの論文を読んでも得られないことがあります。
↑ 表面しか見えない人が膨大な情報を漁ると、やたらと「科学的」とか「証明された」と名乗る、実質的に役に立たない本が出来上がりがちです。
たくさんの情報を漁るだけでいいなら、研究者など存在意義はないでしょう。
これ、当日カバンに入れていった3冊です。
受講者が持ち寄った本を速読してみるなんて機会もあるのかと思ったのですが、ビジネスを舐めてました(笑)
セミナーの先生は、右の本なら、5分で読めたでしょう。
真ん中の本は、30分はかかるでしょうし、僕に理解を質問されたら、分かっていない事だらけだと発覚してしまうと思います。
左の本は100ページもない医学書ですが、丸1日かけて読んでも理解できないだろうと思います。
右の本でさえも、5分で「あらすじ」しか掴めない。
そこから何を想像し、自分の人生に何を生かしていくのか、考える時間こそが大事なのに。
世の中に「表面」しか存在しない情報が氾濫している
この瞬読セミナーで行なっていた「まとめ読み」の方法、実は自分でも既にやってる方法でした。論文を読むときには、まず画像を見るように文字を眺めて全体像を把握します。
だから
「自分のやっていた方法は正しかったのか!」
と、セミナー中に軽く興奮しました。
この先に教えてくれるであろう技術で、「全体像の把握」ではなく、同じ時間で「詳細」まで理解できるようになるのかと。
しかし、先生から帰ってきた答えは結局「この延長線上」。
その先に奥義があるのかと思いきや、これが全てだった(笑)
僕は速読的なことを自分で勝手にやってたんですけど、昔読んだこの本から、なんとなくそういう感じで流し読みするようになりました。
瞬読は他の速読法とは違う!と大々的に宣伝されてますけど、別にこれとそんなに変わらんなぁと思いました。
苫米地さんも、浅く広く集めた情報でビジネスをする代表格ですよねぇ…。天才でもなんでもないと思いますよ。慣れたらきっと誰でも出来るでしょう。
でも、意義が見出せないのでモチベーションが湧きません。
表面しかないような、浅い情報は理解するのが簡単なので、読み手にストレスが発生しないのでしょう。だからウケる。だから売れる。
ま、別に速読術を否定する気は無いですし、僕も実際になんとなくやってるような事です。
でも、速読術が素晴らしいものとしてフォーカスが当たると、ますます世の中はゴミのような浅い情報で溢れるんだろうなと、残念に思いますね。
それ自体は悪く無くても、解釈がおかしいと全体が歪んできます。
こないだ書きましたけど、自然療法そのものは使えるツールです。
でも「自然療法こそ素晴らしいもの!」と捉えてしまうと、生命体としては間違った健康の解釈を生みやすいです。
オメガ3脂肪酸が減っているから足さなきゃ!と勘違いすると、ますます不健康になってしまったり。
あなたは蟹座という水のエレメントの人です!!と刷り込まれたものの、深層部に実は射手座という火がメラメラと燃えていたとか。
じっくりと時間をかけて
考えて
反芻して
想像して
わからない事に葛藤して
何度も何度も繰り返して
でも諦めないで
実践を繰り返しながら情報の意味を確認して
ふとした瞬間に手がかりの光が見える
知識や情報って
そんな繰り返しの中で熟成されたものだけが
自分や周りの人達の人生に実りを与えてくれると思ってます。
それが、この記事で伝えたかった事です。
天才ですら、ただの努力の、繰り返しの末に生まれるものですよね?それは紛れもない法則かなと。
「魔法のメソッド」の誘惑に、お金と魂を奪われないように注意してくださいね。
ま、今回論文読む手間をもっと省けないかなと、魔法のメソッドを探しにいったのは僕なんですけど(笑)
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