地曳直子さんの「オメガ3を摂ると体内で過酸化脂質になる?」への回答

こんにちは。友人づてに公式に見解をブログに書かなくてはならないであろう記事が送られてきましたので、今日はそれを書きますね。

 

記事内容は「オメガ3は体内で過酸化しません!」というのが主訴でした。僕の糖と脂質の全6クラスをご受講いただいた方は、惑わされずに真実を判断することができますね ^ ^

 

発信元は、トップ画像の女性です。

地曳直子さん。

一般社団法人 日本リポニュートリション協会代表

このwebsiteから分かるように、オメガ3を推奨する団体です。

 

また、「地と手」というサイトも運営しているようです。

えごま油などを販売しています。

つまりオメガ3を推奨していますし、それでビジネスをしている方です。

肩書きは「オイリスト」だそうです。油と脂質の専門家として活躍しているのでしょう。

 

僕は以前、吉富信長さんの誹謗中傷にブログでお答えしました。

旧ブログ:「吉冨信長さんの誹謗中傷にお返事します①

①〜⑤まであります。興味のある方は、この記事と合わせて読めば理解が深まるでしょう。

 

上の記事は、吉富さんが地曳さんのために書いたとも知人より聞きました。

 

僕の記事もどこかから回ってきて当時読んだのでは無いかなぁと思いますが、残念ながら脂質の生化学の基本が理解できないようですね。再び解説したいと思います。

 

あ、その前に。地曳さんを含め、初めてこのブログを読む方もおられるかもしれませんから、自己紹介しておきましょうか。

 

藤原悠馬と申します。いずれの学会、団体、協会にも所属しておりません。おまけに学歴もありませんが、フリーランスで生化学セミナーを主催し、講師とカウンセリングを生業としております。セミナーへは現役医師を含めた国家資格を持つ多数のプロにご参加頂いております。

 

以前、崎谷先生の名古屋公演を主催させていただきましたが、今現在、崎谷先生やパレオ協会のお手伝いなどはしていません。また、尊敬する先生ではありますが、細かい部分では違った意見も持っています。ここは「僕の意見」として書いています。

※追記:この記事は2018年に書きましたが、2019年以降、私は崎谷博征医師を全く尊敬していません。私が成長した結果、尊敬できない存在となりました。当記事にも明記してありますが、食事に対する考え方は私は崎谷博征医師のそれ(魚を猛毒と考える)と全く異なります。誤解せぬよう、ご注意ください。

 

「派閥争い」であるかのような誤解を持たれたくありませんし、その誤解から崎谷先生ご本人にも迷惑をかけてはいけないので、最初にお伝えしておきます。

 

では行きましょう。

記事参照元は、地曳直子さんのフェイスブックです。

 

全てを以下にコピペしますので、順に回答をつけて行きますね。

 

「オメガ3を摂ると体内で過酸化脂質になる?」

>数年前から、「EPAやDHAなどのPUFA(多価不飽和脂肪酸)を摂ると、体内で酸化して過酸化脂質となり、それが様々な疾患の原因となる。PUFAは摂らない方がいい」という説が一部で広まって、それ以降、毎回講座でもその質問が出るし、ネットでもそういう発信を見かけたりします。

 

まずこの「情報」とは崎谷先生を主に指していると思います。そして「PUFAは摂らない方がいい」の意味をはっきりさせたい所です。

 

僕もセミナーで「余計にPUFAを摂取していないか気をつけましょう」とお伝えしておりますが、PUFAはココナッツオイルにすら入っています。全ての多細胞生物はPUFAを持っていますから、摂取を断つのは無理です。

 

僕がお伝えしているのは、第一に、特に油だけ抽出した形でPUFAを摂取するのを控えた方が良いということです。

 

具体的には、シードオイル(菜種油やえごま油など)とフィッシュオイルサプリメントを指しています。また、慢性疾患に悩む方は脂質の多い魚を積極的に食べるのは控えた方が良いとお伝えしています。健康な人と比較しPUFAを正常に代謝できる許容量が少ないからですね。

 

小魚、甲殻類、軟体動物、貝類については、もちろん品質によりますが、いくらか摂取した方が良い、健康に寄与するものだともお伝えしております(これは小魚以外は、崎谷先生も同様だと思います)。これらの魚介類は、低脂肪で、重要なアミノ酸とミネラルの摂取源になります。

 

僕も食事は全てインスタグラムに記録をつけていますが、魚は平均週1回、小魚、小エビ、貝類などはよく食べています。

 

地曳さんは逆に「PUFA(オメガ3)を積極的に摂りましょう」と主張されているのだと思いますが、販売物を見る限りは、エゴマ油などのシードオイルも健康へ寄与するものだとお考えなのだと思います。

 

それには異を唱えますが、理由は順番に書いて行きますね。

 

>私はずっと、オメガ6もオメガ3も必要で、大事なのはそのバランスだということ、そして、現代人のほとんどがオメガ6は足りていてオメガ3が少ない傾向にあるので、その場合はオメガ6を減らすかオメガ3を摂ってバランスをとると良い、と伝えています。

 

はい、オメガ6も3も必要ですよ。バランスも大事で、現代人のほとんどはオメガ6が過剰にあることも同意します。

 

しかし、ここは同意しません。

>その場合はオメガ6を減らすかオメガ3を摂ってバランスをとると良い

 

オメガ6を減らすことが重要で、オメガ3を多量に摂取することは望ましくありません。理由は後述しますが、オメガ6が過剰なので、相対的にオメガ3が少なくなっているだけに過ぎません。

PUFAとしては現代人は過剰になっています。この現状にさらにPUFA(オメガ3)をえごま油のような単体(脂肪のみ)で大量に摂取する事は、全く望ましくないでしょう。

 

>でもそのバランスは食事に依存するため個人差が大きいので、個々に見合ったアドバイスが出来るように、血中脂肪酸を測定することも始めました。

 

血中の「なんの」脂肪酸を測定しているのでしょうか。是非データなど公開して頂ければ僕も勉強になりますが、「オメガ6/3バランス」だけを見れば、6に傾いている方が多いと思います。だからと言って、オメガ3を積極的に摂りましょうと結論づけるのは、あまりに安易で身体のメカニズムを無視しています。

 

先に記した通り、オメガ6が過剰になっており、相対的にオメガ3が減少しており、6と3を合わせたPUFAとしては現代人は過剰になっております。問題となっているのは脂肪酸の二重結合の多さです。理由は後述します。

 

>どちらにしてもPUFAは体内で作れない必須脂肪酸なので、外から取り入れることが大前提。それは、PUFAが体内で生理活性脂質に代謝され、恒常性の維持に大きく関与する大切なものだから。

 

その通りです。しかし必須脂肪酸(PUFA)が足りていない人など存在しないでしょう。むしろ過剰なPUFAが多くの人々の恒常性を崩壊させているのが現状です。

 
>このことは何十年も前から世界中で研究されてきて、もう疑う余地のないものなのに、なぜか真逆の理論を信じる人も多い。

 

非常に曖昧な記述です。地曳さんは、どの程度の量の必須脂肪酸を食事から摂取するべきで、「真逆の理論」とは、どんな理論を指しているのでしょうか?

 

どんな食べ物にも、必須脂肪酸は入ってます。

 

日本人の多くが毎日食べる味噌汁にも入ってますし、鶏、豚、牛、いずれの肉を食べても、卵を食べても、必須脂肪酸は入っています。植物の脂肪酸組成は基本的に不飽和が主体であり、PUFAも勿論含まれます。ココナッツオイルでさえ、微量のリノール酸(オメガ6)を含みますし、卵にはオメガ3の代表格であるDHAも多量に入っています。体内でDHAからEPA(最も重要視されるオメガ3)へ変換可能です。葉野菜を食べればαリノレン酸(オメガ3)も入っています。

 

これで必須脂肪酸(オメガ6と3)が不足すると言う「疑いようのないデータや根拠」があるのであれば、ぜひ教えて頂きたいものです。

 

>一方で、研究者の先生方にPUFAは過酸化脂質になるから摂らない方がいいと言う説があると話すと、みなさん一笑に伏す。そんなことはないよ、と
 

「先生方」とは、どこの先生で、どの程度の人数を指しているのしょうか? ぜひ、その先生方に直接お話を伺いたいものです。

 

「一笑に伏す」と仰られますが、脂肪酸に関わる論文をチェックしても、昔から「オメガ3は生体に必須だが、体内で過酸化脂質となるリスクが高い。それが体内のタンパク質やDNAを障害する。」というジレンマが数多くの研究論文で頻繁に書かれているのは何故でしょう?

 

というか、地曳さんは脂質栄養学会に所属しておられますね。

ご自身が作られた協会にも、脂質栄養学会の理事長が在籍しておられるようですが。

 

脂質栄養学会が監修している、この本の内容はご存知でしょうか?

 

オメガ3は生体内で優先的に酸化されます。つまり、フリーラジカル(活性酸素種)が発生すると、オメガ3が捕捉します。

 

フリーラジカルは消去されますが、オメガ3は酸化されます。

 

その過酸化脂質となったオメガ3は、生体内のグルタチオンを始めとする抗酸化システムがリカバリーします。そんなことが書いてあります。

 

この根拠を元に「オメガ3は体内の活性酸素を消去する(生体防御)」と主張されているのが前述の書籍の主張です。

 

これを吉富さんも主張されておりましたし、地曳さんも信じておられるのかもしれませんが、この本には魚油が生体防御とならず、過酸化ダメージが顕著に出てしまっているin vivoの実験データも掲載されています。

 

生理的条件下を想定した実験でも(液体/ミセル中)でも、二重結合が多いほど過酸化脂質(MDA)を発生させるというのは、前回も崎谷先生が指摘しておられました。

『プーファ本に対する吉富氏の書評について』

地曳さんは脂質の専門家と名乗っておられるようですが、このような事実を今回のご投稿と照らし合わせ、どのように解釈をなさっているのでしょうか?

 

もう一度確認します。

 

地曳さんが所属している学会の書籍には、オメガ3が優先的にフリーラジカルの攻撃を受けると書いてあります。ここに疑いはありませんよね。

 

つまり、地曳さんは「オメガ3が酸化されても、生体内の抗酸化システムが守るから決して過酸化脂質がオメガ3から発生することはない。」と仰っているのですよね??

 

生体内で脂肪酸の過酸化を防ぐシステムは、主にはグルタチオンとビタミンEだと思います。

 

まずビタミンEとは、PUFAの過酸化ダメージから身を守るために存在しています。逆に言うと、PUFAが過酸化を起こすほどに、ビタミンEは消耗されます。オメガ3はフリーラジカルの攻撃を優先的に受けますので、大量摂取(サプリメント/シードオイル)でビタミンEを消耗させます。(1)(2)(3)

 

ビタミンEはPUFAの過酸化ダメージから守るために酸化されます。それを再生するのがグルタチオンという抗酸化酵素です。

 

グルタチオンを再生するには、糖をミトコンドリアで燃焼せずにペントースリン酸経路を回します。NADPHという還元物質を作るためですね。しかし、この経路ではエネルギー産生がありません。ペントースリン酸経路を回す必要に迫られるほどに、糖のエネルギー代謝からのATP産生が低下します(その需要を上げるのがオメガ3です)

 

そもそも、ビタミンEはPUFAの過酸化ダメージを防ぎ切ることが出来ません。(4)

 

この時点ですでに「生体内でオメガ3が過酸化脂質を作らない説」は非常に怪しいものになっています。それどころか、オメガ3の多量摂取は、糖がミトコンドリアで完全燃焼することを妨げます。

 

オメガ3は体内で優先的に燃焼されます。理由は、細胞内に長く留まっては危険だからですね。ペルオキシソームが増加し、二重結合が多いほど素早く燃焼します。

 

だからこそ、太りにくいとか、代謝を上げるとも言われますが、それは一時的なものです。脂肪酸酸化が長期的に亢進するほどに、糖代謝は抑制され、細胞内は低酸素になります。つまり代謝は低下します。そもそもペルオキシソームとは、プラスチック可塑剤や農薬でも増殖するようなゴミ処理を担当する細胞内小器官でもあります。また、ペルオキシソームで脂肪酸が燃焼される場合、ミトコンドリアと比較し、ATP産生は減少します。(5)(6)(7) 

 

つまり、ペルオキシソームが増殖する物質は、細胞から見れば「危険物質」です。オメガ3に関わらず、ミトコンドリアへ脂肪酸が流入し過ぎることは生体毒になりますが(8)(9)、オメガ3を代表とするPUFAは優先的に燃やされるので(危険だから)、糖代謝を抑制して脂肪酸酸化が亢進します(randle cycle)(10)

 

そもそもですね。酸化ストレスが問題となっているからこそ、世の中は抗酸化ブームなわけですよね。グルタチオン療法、大量のビタミンCサプリの摂取、還元水、様々な還元物質の投与が流行しているのが現状ですが、これは生体内の抗酸化システムが破綻している人が多いことがバックグラウンドにあります。

 

その理由は、過酸化を起こす二重結合の多い脂肪酸であるPUFAが主因となっています。

 

繰り返しますが、オメガ3は優先的にフリーラジカルの攻撃を受けることは明らかですね。しかし日本脂質栄養学会は、オメガ3が酸化ストレスを必ず軽減するという明確な根拠を残念ながら提示出来ていません。

 

>実はここ数年、このギャップの中で悶々としていました。信じていることも伝えていることも、一度もぶれたことはないけど、それが間違ってるとか古い情報だとか言われて、信じてもらえない悲しさ。

 

すでに書いてある通りですが、信じるのが非常に難しいです。「オメガ3が体内で常に過酸化する事は無い」など、科学とはかけ離れています。

 

>PUFAを摂ったからってそんなに簡単に過酸化脂質になるわけないってことを伝えたいけど、そういうデータも見当たらず、、どう伝えたらいいのかな〜と思っていたら、、、

 

データが見当たらないのに信じろというのもおかしな話です(笑)

 

ちなみに、PUFAの摂取量に依存して、誰しもが体内に過酸化脂質を多量に作るわけではないですよ?PUFAが過酸化脂質になってしまうような、脂質代謝異常を起こしている人が、現代人には増えているという話をしています。

 

体内の抗酸化物質を浪費、枯渇させ、ATP産生を低下させ、ホメオスタシスを崩壊させるのがPUFAです。

 

>なんと9月の脂質栄養学会で、体内の過酸化脂質を測っている先生のご講演がありました!
東北大学大学院、機能分子解析学の仲川先生。先日お時間をいただいて、いろいろお話伺ってきました。

 

地曳さんが、2年ほど前に、自分ではオメガ3の大量摂取を肯定する論理を披露できず、吉富信長さん任せで身を守っていたのは存じていますが、また他人任せですか(^_^;)
 

>リン脂質中の過酸化脂質は、わずか10万分の1。過酸化脂質は検出しようと思ってもなかなか出来ない。それ程少ないということ。私たちの体内は様々なレギュレーションで制御されていて、還元状態にある。と。

じゃあどうして、PUFA過酸化脂質説がまかり通っているのか?と質問したら、それは最近まで体の中にどのぐらい生成されているか分かってなかったから、想像や推測でいろんな説が出ているだけだと。

 

健康な人は、ある程度のレギュレーションで過酸化脂質を作らないように制御されます。そういったシステムがあるのは生物として当たり前です。

 

しかし機能していない人が増えているという事は、分子栄養学などでもごく一般的に言われていることではないでしょうか?

 

そもそもですよ?

 

体内で過酸化脂質はアルデヒドとなり、ALEs(脂質過酸化最終産物)を産生します。このようなアルデヒド(カルボニル化合物)が、タンパク質やDNAに結合することを「カルボニルストレス」と言います。

PUFAから発生するALEs(アルデヒド)として代表的なものは、ヒドロキシノネナール(HNE)、マロンジアルデヒド(MDA)、アクロレインです。

 

地曳さんが販売されているえごま油や、推奨されているフィッシュオイルなどのオメガ3はアクロレインの主要な発生源ですが、これが癌やアルツハイマーなどに関わっている事はちょっとググっても論文が結構出てきます。(11)

 

「carbonyl stress」「ALEs」「MDA」「4-HNE」なんでもいいですけど、過酸化脂質由来の代謝産物が病気の原因となっている事を指摘する論文は多数ありますが、こういったものは、地曳さんはどのように解釈するのでしょう?

 

>リン脂質中の過酸化脂質は、わずか10万分の1。

これは血液中のリン脂質内のヒドロペルオキシドを測定しているのでしょうかね。では、in vivoでリン脂質が過酸化を起こしている事を実際に示している研究論文は多数存在するわけですが、それは全て「測定間違い」と仰っているのでしょうか?

 

また、すでにカルボニル/アルデヒド化したもの、それらがタンパク質を修飾したものも測定されているのかも重要かと思います。それらが実際の脂質過酸化ダメージの指標となるでしょう。

 

ざっくりと「わずか10万分の1」と言われましても、一体何のことやら、詳細なデータをご提示いただかないと検討も出来ません。よろしくお願いします。

>ずっと伝えてきたことに間違いはないと思ってはいたけど、でもやっぱりどこか不安もあったので、仲川先生のお話を聞いてすーーーっと気持ちが楽になりました。

 

不安が解消されて良かったですね(笑)というか不安なままセミナーや講演活動をされていることに僕は驚きました。おまけにデータも持ってないとは(笑)

 

ここまで書いてきた通り、気持ちが楽になったところで申し訳ありませんが、脂質について真摯に学んでいる者としては、疑問が山ほど浮かんできます(泣)

 

真実はひとつ。これからも、しっかりと根拠のある情報を伝えていきたいと思います。

 

真実はひとつ。それは、全くその通りだと思います。

 

しかし、、、真実を発表するにはあまりに手薄で穴があります( ;∀;)

 

昨日まで症状についての記事を書いている途中で、ちょうど良いので地曳さんの文章以外からもオメガ3について僕から解説させていただきます。

 

オメガ3が抗炎症作用があるとして、あらゆる疾患に対してクリニックで大量投与されたり、一般の方も自分でサプリメントを買って、もしくは亜麻仁やえごま油などを常食する事で摂取する事を試みている方が多いです。

 

実際に、アトピーがフィッシュオイルサプリメントで良くなったと報告されるケースも多いのですが、その作用機序は免疫抑制です。(12)(13)(14)

 

ちょうど昨日書いたところですけど、免疫力が低下するので症状が起こらなくなります。

免疫の本質と子供の症状(症状と炎症について思うこと②)

免疫力が抑制されているわけですから、症状の原因となっているゴミが無くなっているわけではありません。免疫の仕事はゴミ処理です。

 

むしろ、オメガ3によって過酸化脂質というゴミを溜め込むことになりかねませんし、PUFAは脂肪酸酸化を高めて糖代謝を抑制します。

 

前述したように優先的に燃焼する必要があるので脂肪酸酸化が亢進しますし、PUFAの過酸化物であるアルデヒドこそが糖代謝経路のあらゆる場所を阻害する主因です。(15)(16)(17)(18)(19)

 

そしてミトコンドリアの糖代謝の活性低下と、アルデヒド(カルボニルストレス)の蓄積は相関します。(20) 糖代謝がブロックされて脂肪酸酸化が亢進しているのが糖尿病という状態です。(21)

 

こういうのは生化学の基礎が分かっていればご理解いただける話かと思うのですが、こんな難しいお話をしなくても、自然界とか食文化をよく眺めていただければ、オメガ3を生命維持(健康)のために意識的に摂取していた文化や生物など存在しないことが分かります。

 

例外は冬眠前の動物くらいでしょう。リスやクマはドングリや鮭などからPUFAを摂取し、体内脂質の脂肪酸不飽和度を高めることによって代謝を著しく落とし、冬眠を実現させます。(22)(23) 甲状腺機能を落とさないと、餌の要求量が増えてしまいますからね。

 

哺乳類はミトコンドリア膜に二重結合が増えれば増えるほど、寿命が短くなります。最も寿命を短くするのは、二重結合が最多(6個)のDHAです。(24)

 

げっ歯類中、ぶっちぎりの長寿であるハダカデバネズミのオメガ6/3比は、とんでもなくオメガ6に傾いています。(25) 分子栄養学の血液検査を受けたら、炎症が起こるとフィッシュオイルサプリメントを処方されるでしょう(笑)

 

僕らは変温動物で水中で生きる魚のような変温動物(外気温で体温が変化する)ではなく、陸上で熱や紫外線に強く晒される恒温動物(体温が高くほぼ一定)です。脂肪酸組成とは、基本的には温度や代謝活性によって、その生物に最適なものを持つようになっています(←重要)

 

魚や植物に必要な二重結合の多いPUFAが、人の体内に多量に入ってきては困るわけです。これは、小学生でも直感的に分かりそうですけどねぇ…

 

だからこそ、そもそも腸での吸収率が、DHAとEPAは非常に悪いです。(26) 必要ないからですね。

 

もう長くなってきたんで、そろそろ終わりにしますけど、魚を食べる事と、亜麻仁油やサプリメントを摂取する事は、全く別の事として考えなくてはいけません。

 

脂肪酸は吸収されたあと、二重結合が多いほど優先的に燃焼されます。しかし燃焼するには、NAD、 FADなどの補酵素や、ビタミン、ミネラルを必要とします。

 

鮮度が良く、汚染の少ない魚を、丸ごと食べる分には問題は起こりません。過剰なDHAやEPAは人間のような哺乳類にとって体内に多量に長く留まっては問題が起こる事はすでに説明しました。ですから、ペルオキシソームを増殖して対応し燃やしてしまいます。

 

綺麗に燃焼できるか否かが問題です。魚を丸ごと(皮、骨、頭部)食べる場合は、燃焼するための補酵素となるビタミンB郡や、脂肪酸の過酸化ストレスに対して保護的に働くグリシンなどのアミノ酸、脂溶性のビタミンA、D、マグネシウムやカルシウムなどのミネラルを同時に摂取できます。

 

しかしえごま油にはビタミンEやファイトケミカルくらいしか入っていないでしょう。これではPUFAを燃焼できません。バランスを崩すと言う事です。魚を食べるメリットはオメガ3にあるのではなく、オメガ3以外の栄養素にあります。

 

つまり、えごま油を常食する事は、ゴミ(危険物質)だけチョイスしてわざわざ摂取する事になります。だからこそ、長い食文化でえごま油を絞って食べていた民族などいないわけです(エゴマの葉っぱや、タネを擦って少量食べるのとは別次元の話ですよ!)これはえごまだけでなく、シードオイル全般に言えます。

 

シードオイルはもともと燃料や塗料が搾油の目的です。もともと食べ物では無かったのですが、近年のブームに乗っかって食品化されているの過ぎません。

 

えごま油はもちろんの事、魚でさえも、特に脂肪の多いものや大型魚で、都市部で手に入る鮮度の悪いものは、健康状態によっては良かれと思って頻繁に食べることが問題になる人もいるわけです。なぜ青魚にアレルギーを起こす人が多いのか、考えてみてください。

 

 

いいですか?

 

現代人はオメガ6が体内に蓄積しています。間違いありません。あまりに多量にシードオイルを摂取するから、そして燃やしきれずに溜まってしまうからですね。

 

しかし逆に考えてみてください。なぜオメガ3は蓄積されないのに、オメガ6(リノール酸)は体内にこれほど蓄積できるのか? 

 

理由は、ヒトの身体にとって、オメガ6のリノール酸(二重結合2個)が、オメガ3(二重結合3〜6個)よりも、マシだからです。

 

しかし入ってきて燃やせないものは蓄積されます。そうして全身の脂肪酸の組成の不飽和度が増えてきます。

 

しかし脂肪酸組成の不飽和度が上がるのは、代謝を落とす事に繋がります。代謝が落ちる=甲状腺機能が低下し、細胞内低酸素になり、エネルギー産生が低下しているのが現代の慢性疾患の特徴です。

 

身体はもうこれ以上不飽和度を上げたくないので、仕方なくオメガ3を減少させているに過ぎないのです。なぜ慢性疾患でデルタ6デサチュラーゼが不活性化するのか(二重結合を増やす事を身体は拒むのか)、考えてみてください。ですから、現状に追加でオメガ3を摂取する事、オメガ3単体での摂取は明らかに間違っています。

 

オメガ6(シードオイルからのリノール酸)を減らせば、オメガ6と3のバランスは是正されますし、そもそもの話、オメガ3が多い方が健康という基準から間違っています。

 

日本人は脂肪の摂取量が増えただけであって、特にオメガ3の摂取が昔と比べて減少しているわけではありません。

 

100年ほど前から魚介類の摂取量は激増しています。(27)

 

大豆油や菜種油にもオメガ3は多く含まれるので、オメガ3の摂取量は戦前と比較し、間違いなく増えているでしょう。そして摂取脂肪のオメガ6/3の割合が問題なのではなく、PUFAの摂取の仕方(抽出したものを食べる)や量が激増している事が本当の問題です。

 

PUFAが体内で過酸化を起こさないなど、本当にびっくりな話です。また地曳さんの主宰する日本リポニュートリション協会と、所属する日本脂質栄養学会のように、オメガ3を意識的に摂取する、しかもサプリやシードオイルで!というのはどう考えても腑に落ちません。魚を食べるにしても、慢性疾患でこそ魚食中心にした方が治癒が早い、もしくは病気を予防できるという論理も、到底辻褄が合いません。

 

100歩譲って、治療用として短期間オメガ3を使用するという目的で、クライアントにリスクをきちんと説明するのであれば、僕は全く推奨しませんが認めます。このような「PUFAは過酸化しない」発言は論外です。これだけリスクにスポットが当たるようになったにも関わらず、情報精査を拒否し、真っ当な見解を提示することもなく、安易に大量のオメガ3を処方、販売(子供用まで!)する治療家や専門家を名乗る人間が、未だに多数存在するのは残念でなりません。

 

以上、十分な説明をしたつもりですが、ご理解いただけたでしょうか?

 

 

400以上のリアクションにシェア約50件。

 

あまりに根拠が薄弱なこの「真理はひとつ」宣言に、一体どんな人達がコメントしているのだろうと見てみれば驚きです。

 

オメガ3やシードオイル、ファスティングをビジネスにしている人達がここぞとばかりに張り切って応援コメント(笑)

 

そりゃ、応援したくなりますよね。自分の利権と保身のために。しかも、自分で正当性を説明できませんから。

 

中には、昔聞きたいというから喫茶店で2時間以上かけて脂肪酸の問題について語った知人もいたのですが(もちろん無料で)、苦労して説明したのに「私にゃ難しいことはわからん」と言い放っていた人間です。

しかしここでは「直ちゃんのいつもフラットで人に寄り添う気持ちが大好きです」なんてコメントしていて本当にがっかりです。これがフラットかどうかは、難しいことを理解できる知識がなければ判別不可能なんですけども……フラットどころか一気に滑り落ちる角度で傾いてます。

 

参考文献もつけておきましたんで、あとは皆さんで考えてみてください。文献は、全て横断的に繋げて俯瞰し、生化学の基礎と合わせて考察するのが基本です。「オメガ3やPUFAが慢性疾患の原因である」と「はっきり結論づけている」論文などありません。しかし生化学の基礎が分かっていれば、多量摂取が危険であること、オメガ3とPUFAの危険性が情報から読み取れるでしょう。

 

ご本人からの反論も喜んでお受けします。僕は逃げも隠れもしませんので。

 

僕の「症状と食事を読み解く生化学セミナー」では、このような専門家の言葉を借りて矛盾を隠してビジネスを展開する人間に一生騙されずに済むように、丁寧に生化学と生命体のメカニズムをお伝えしております。

 

学歴、資格なしの人間のセミナーに、医師と主婦が机を並べて勉強するカオスです(笑)どなたにも真摯に対応させて頂いてますので、自立した判断力を持ちたい方はぜひご参加いただければ幸いです。

 

※こういった名指しでの記事は、日本人には概ねウケが悪いでしょう。正々堂々とディスカッションしますよと宣言する事は悪とされ、陰口を叩くのは誰にも指摘されないのは不思議なものです。この地曳さんの記事のコメント欄は、日本人の陰湿な気質や他力本願な心を象徴するようで悲しくなります。意見は自分の物として、説得力を持つまで学び、考え、他人に頼らず正々堂々と発表できるまで成熟させるものです。

「真実はひとつ」と豪語してビジネスを展開し、自分の立場と相反する意見を批判して発表するのであれば、論議には応じる義務があるでしょう。少なくとも成熟した大人であれば、そのように対応するのが真っ当であると僕は考えます。特に、これは雑貨を販売する事とは違い、人の健康に大きく関わる事です。

 

※2021年3月追記  -コメント欄より-

ホメオパシーの記事を今書いています。改めて当記事を再読し、地曳直子氏のFBコメント欄を見るとホメオパスが3名。ホメオパスが思考力に欠けるというエビデンスとして貼っておきます。

 

成瀬麻記子(Facebook / Blog

ホメオパス。元化学系研究者。子供達のアレルギー等から代替医療の道へ。

製薬会社研究員だったらしいですが、この程度の解説で「すっきりした!」って勉強不足が過ぎるのではないでしょうか。

頭悪過ぎるでしょう……結局、化学をきちんと理解して扱えないので自然療法の道に転身したとしか思えません。

 

藤川由紀(Facebook / website

株式会社モアナチュラル代表。ホメオパス・自然療法家。

コロナワクチンが承認された時に、うまいこと乗っかって動画売って儲けてます(笑)。答えようのないトピックを告知に使うあたりが姑息です。

受講して全部突っ込んでやろうかなと思いましたが、残念ながら期間限定販売で今は見れないようです。

 

比嘉 眞紗子 (Facebook / website

自然派倶楽部mamasにて身体に優しい食品や洗剤を販売。還元くん・ありがとうボトルやワンコウソなどのオリジナルグッズも。ホメオパスとして活動中です。※2020/7/13永眠致しました。

私の脂質クラスの参加者ですね。「猫にオメガ3は良いですか?」という質問をくださった、私の中の伝説です。自分の病気を治せずに死去。

 

 

 

−参考文献−

(1)Am J Clin Nutr. 1975 Jun;28(6):577-83.
Recommended dietary allowance for vitamin E: relation to dietary, erythrocyte and adipose tissue linoleate.

(2)岩手大学教育学部研究年報第39巻(1979)
生体内過酸化脂質に及ぼすビタミンEおよび 不飽和脂肪酸投与の影響

(3)Unilever Research – Vlaardingen -1973 LINOLEIC ACID INTAKE AND VITAMIN E REQUIREMENT

(4)岩手大学教育学部研究年報第39巻 1979 ラ ットの生体内過酸化脂質 と臓器の組織 に及 ぼす ビタ ミンE欠 乏 および魚油給与の影響

(5)ペルオキシソームの機能(1)脂質代謝
 特集 動物のペルオキシソームの機能・生合成・病態

(6)日本 栄 養 ・食 糧 学 会 誌 第55巻 第2号105-110(2002)
 食品成分による肝臓脂肪酸 酸化と合成系の制御

(7)岡 山 医 学 会 雑 誌 第116巻 January 2005, pp. 235-244
 ペルオキシソームの機能とペルオキシソーム病

(8)Cell Metab. 2008 Jan;7(1):45-56. doi: 10.1016/j.cmet.2007.10.013.
Mitochondrial overload and incomplete fatty acid oxidation contribute to skeletal muscle insulin resistance.

(9)基礎老化研究 38(3); 25-29 , 2014
骨格筋のカルニチン代謝と老化

(10)Randle Cycle – wikipedia

(11)YAKUGAKU ZASSHI 137(3) 301―306 (2017)
酸化ストレス産物アクロレインの見過ごされていた反応性 インビボ検出から
酸化ストレスへの寄与,及び生体内制御機構の解明へ

(12)Arthritis Res Ther. 2008; 10(3): R57.
Leukocyte numbers and function in subjects eating n-3 enriched foods: selective depression of natural killer cell levels

(13)Braz J Med Biol Res. 2000 Nov;33(11):1255-68.
Effect of fatty acids on leukocyte function.

(14)J Nutr. 2009 Aug; 139(8): 1588–1594.
Fish Oil-Fed Mice Have Impaired Resistance to Influenza Infection

(15)Biochem Biophys Res Commun. 2005 Apr 29; 330(1): 151–156.
Aconitase and ATP synthase are targets of malondialdehyde modification and undergo an age-related decrease in activity in mouse heart mitochondria

(16)Free Radic Biol Med. 1997;23(4):610-5.
4-Hydroxy-2-nonenal hardly affects glycolysis.

(17)Mitochondrion. 2006 Jun;6(3):136-42. Epub 2006 May 4.
Acrolein is a mitochondrial toxin: effects on respiratory function and enzyme activities in isolated rat liver mitochondria

(18)Redox Biol. 2013; 1(1): 145–152.
The lipid peroxidation product 4-hydroxy-2-nonenal: Advances in chemistry and analysis

(19)J Am Soc Mass Spectrom. 2004 Aug;15(8):1136-47.
Modification of Cytochrome c by 4-hydroxy- 2-nonenal: evidence for histidine, lysine, and arginine-aldehyde adducts.

(20)Physiol. Res. 60: 281-289, 2011
Effects of Aging on Activities of Mitochondrial Electron Transport Chain Complexes and Oxidative Damage in Rat Heart

(21)Antioxid Redox Signal. 2017 Dec 11. 
Mitochondrial NAD+/NADH Redox State and Diabetic Cardiomyopathy.

(22)J Comp Physiol B. 1994;164(4):299-305.
The degree of dietary fatty acid unsaturation affects torpor patterns and lipid composition of a hibernator. Am J Physiol.

(23) 1987 May;252(5 Pt 2):R897-901.
Polyunsaturated lipid diet lengthens torpor and reduces body temperature in a hibernator.

(24)October 1998 The Journal of Lipid Research, 39, 1989-1994.
Mitochondrial membrane peroxidizability index is inversely related to maximum life span in mammals

(25) Journal of Gerontology: BIOLOGICAL SCIENCES Copyright 2006 by The Gerontological Society of America 2006, Vol. 61A, No. 10, 1009–1018
Oxidation-Resistant Membrane Phospholipids Can Explain Longevity Differences Among the Longest-Living Rodents and Similarly-Sized Mice

(26)日獣 生 大研報 55,1 −36,2006.子牛用 の 代用乳 と そ の 品質

(27)魚介類消費量の長期推移
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/0290.html

 

症状と食事を読み解く生化学セミナー

〜2018年秋のスケジュール 糖質&脂質〜

10月13日(土)14日(日)

大阪:お気軽会議室 堺筋本町

10月27日(土)28日(日)

名古屋:自然の薬箱千種駅前店Learning Room(8F)

11月23日(金/祝)24日(土)

東京:八重洲藤山ビル 2階「ふれあいセミナールーム八重洲④」

藤原 悠馬生化学(生物学) / 西洋占星術
セミナー / セッション

「症状の原因を根本から読み解く エネルギー代謝学」セミナー主宰。細胞レベルの代謝、病理、自然界、食文化を縦横無尽に繋ぐ他に類を見ない圧倒的な俯瞰力と分析力が話題を呼び、全国から多数の現役医師、治療家、薬剤師、美容家、栄養士、料理人、ボディインストラクターなどの健康・治療業界のプロから一般の主婦までがセミナーへ集う。どこにも所属しない、日本で唯一のフリーランスの生化学講師。2019年より「生化学講師が教える 占星術の基本の考え方とホロスコープチャートの読み方講座」を始動。IC魚座29度「プリズム」/MC乙女座29度「読んでいる書類から秘密の知識を得る男」。全ての生命の普遍的な創造原理を、文献や生活の全てから抽出し、具体化するのが生業。

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健康を知ること
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藤原 悠馬生化学(生物学) / 西洋占星術
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「症状の原因を根本から読み解く エネルギー代謝学」セミナー主宰。細胞レベルの代謝、病理、自然界、食文化を縦横無尽に繋ぐ他に類を見ない圧倒的な俯瞰力と分析力が話題を呼び、全国から多数の現役医師、治療家、薬剤師、美容家、栄養士、料理人、ボディインストラクターなどの健康・治療業界のプロから一般の主婦までがセミナーへ集う。どこにも所属しない、日本で唯一のフリーランスの生化学講師。2019年より「生化学講師が教える 占星術の基本の考え方とホロスコープチャートの読み方講座」を始動。IC魚座29度「プリズム」/MC乙女座29度「読んでいる書類から秘密の知識を得る男」。全ての生命の普遍的な創造原理を、文献や生活の全てから抽出し、具体化するのが生業。