こんにちは。久しぶりのブログになりました。
11月20日に、浜本彩香さんのホロスコープ(占星術)セミナーを開催しました。
ほとんどが僕の生化学セミナーの受講者さんでしたし、愛知を初め県外からも多数かけつけて頂いたので、何か開催レポを書かなくてはなぁと思っていたのですが、
自分としては、「セミナー内容に一部意義あり」でした。
その件について、テキストを読み返し、悦子とディスカッションし、講師の彩香さんとも長らくメッセージのやり取りをしていまして、書くのが遅くなりました。
セミナーを主催する人が、本来こんなことしません。沢山の人が集まり大成功でした。皆さまありがとうございました。普通はそれで終わりです。
しかし今回は、自分のセミナーの根幹を成している大切なことと真っ向から反する解釈があったので、検討するためにメッセージを講師の彩香さんに送りました。
その点はまた後で書きますが、とりあえず普通にセミナーレポです。
彩香さんはもともと精神科勤務で、大学で心理学を専攻していました。精神科勤務時に分からなかったことが、ホロスコープでは分かること、そして理由はわからないが、なぜかホロスコープが個人の性格をよく表していることが興味深く、学びの原動力になっているそうです。
そんな彼女の作り上げたセミナーは、心理学という学問を占星術に持ち込んだ「心理占星術」という概念がベースになっています。これは日本では鏡リュウジ氏が第一人者であるとのこと。
鏡リュウジ氏は一般向けに書かれた著書が多いようですが、外国の本を翻訳する形で関わっているものが本格的で面白いそうです。
今回のテーマは「10天体を学ぶ」ですが、セミナーのハイライトは月、水星、金星、太陽、火星、金星、土星の「発達年齢」の順に、心理学の考え方も合わせて7天体が解説された部分だと思います。
30代〜40代の女性が主なセミナー受講者さんの年齢層でしたが、ご自身の人生を振り返って、各発達年齢でどんな出来事があったか、何に夢中になったのかなど、(今回説明はありませんでしたが)サインの意味と照らし合わせて考えてみると、天体の意味の全体像が浮かび上がるような構成になっていたと思います。
とは言っても、初めて占星術に触れる方には難しかったはずです。簡単な初心者向けの本を、セミナーテキストを合わせて読むと理解につながるのではないかと思います。
さて、今回彩香さんにセミナー後に問題提起させていただいたのは「トランスサタニアンの解釈」です。これを「下からの進化、上からの創造」という概念で発表されました。
詳しくはここでは説明しませんが、冥王星の「大いなる意志」に使ってもらうために私たち人間は生きているという記述、
そして容易に冥王星の「創造の光線」を受け止められないのは「器(月〜土星)が完成していないから」であり、「個人の幸せを大切にしたいから」という記述に激しく違和感を感じました。(だからセミナー後にも少し注意喚起の言葉で締めさせて頂きました)
セミナー後に、これは一体何をもとにした情報なのかと、松村潔氏の「完全マスター西洋占星術 (The series of perfect master) [ 松村潔 ]」を読んでみると、この概念が書いてありました。
しかし冥王星がそのような意味合いを持つという根拠は記載がありませんでした。
この点、彩香さんと論議しましたが、この「下からの進化、上からの創造」という概念は、松村潔氏の主観であり、何も根拠のある話ではないと言う事で合意しました。
冥王星が創造主であるかのような、「上から、下から」という概念に明確な根拠はありません。講師の彩香さんと共に合意しました。
セミナー中に口頭で、冥王星の光線を受け止め、個人の幸せを犠牲にして生きた人物としてマザーテレサの名が上がりましたが、彼女が「本当の意味で」献身的な心で生きたかどうかは不明です。現場を見た人以外には分かりません。
冥王星によって気が狂った人物としてゴッホや芥川龍之介の名が上がりましたが、医学的には彼らは脳機能障害であり、冥王星によって気が狂ったと表現するには厳しいところがあります。
当たり前ですが、病気だけでなく人生の全ての出来事は生まれ持って決定しているわけではありません。全て環境によって、エピジェネティック(後天的)に如何様にも変化します。
ゴッホは「側頭葉てんかん」を持っていた事で有名です。マザーテレサは何か病状があったかはわかりませんが、彼女のように「神の啓示」を受けた人物の多くは「側頭葉てんかん」を持っていたと示唆されています。(Case Rep Neurol Med. 2015; 2015: 235856. Published online 2015 Aug 13. )
イスラム教創始者のムハンマド、キリスト教最大の伝道者と言われるパウロ、その他モーゼ、ブッダなどの指導者、預言者。
ゴッホをはじめ、ドエトフスキー、ヘンデル、フローベルなどの芸術家、作曲家、小説家。
ジャンヌ・ダルク、ナポレオン、カサエルなどの軍人。
ソクラテスのような哲学者。
浜本彩香さんセミナーでも紹介のあった心理学者ユングも。
このような「大いなる意志に使ってもらったかのような」偉人、芸術家、小説家が、人々に幸せをもたらしたのどうかは分からない事です。そして医学的には彼らは脳機能障害であり、その原因は実生活の環境、食生活、過度のストレス、物理的なショックなどが考えられ、冥王星によってそれが起こると考える事には慎重になる必要があります。
少なくとも、ゴッホの絵画、宗教の概念、ユングの体系付けた心理学、僕には全く必要がなく、食べ物を作ってくれる生産者さん、衛生環境や交通網を整備してくれている方々など、命をつなぐために日々働いてくれている方々の方がよっぽど幸せを皆に与えてくれる存在だと思っています。
この辺りの考え方は人それぞれの主観によって変わります。
その主観でしかないものを、トランスサタニアンと結びつけて「なんだか崇高なもの」のような捉え方をしてしまうような最後の締め括りには僕個人的には大きな疑問が湧きました。
また「本来、冥王星の意志を受け取ることが魂が望む生き方であり、それを受け取らないのは個人の幸せを大切にするから」ということ、そして「器が未完成だと人格崩壊する」という表現も非常に危ういです。
ゴッホが側頭葉てんかんを持ったのは後天的な何かが原因として存在したと考えるのが自然であり、先天的な何かがあったとしても、まず先に後天的なものに原因を探さなくてはなりません。
これを魂が望む生き方を与える「冥王星の大いなる意志」によってもたらされたとすると、遺伝子によって免れることが出来ないよいうな「遺伝子決定論」と非常に似たものとなって、自分自身や他人を洗脳する事になってしまいます。
僕らhonoiroはホロスコープを面白いと思っていて、子育てやパートナーシップに有効に使えると考えています。しかし「自分に起こることや至らない部分は、生まれ持って与えられたネイタルチャートのせい」と考えることを望んでいません。
「全ては生命場を整えることで改善していく」と考えています。これは身体的な症状も、心の在り方も同様です。心と身体は繋がっているから、です。
今回のセミナーで口頭で説明された事も含め、あたかも星によって人生が破滅に向かったり、または星の影響を受けないことが自分が未熟だったり、利己的であったりと捉えかねない表現は、松村氏の主観を彩香さんの表現で文章化されたものであると言う事は、ここに再度お知らせしておきます。
※松村潔氏の原文からはそのような意図は僕には感じられませんでしたし、彩香さん自身からもメッセージをやり取りする中で、言葉通りの印象とは違うことを考えている事は確認しました。テキスト内の言葉から連想されうる誤解に対してこの文章を書いています。
不慮の事故であったり、または不可抗力的な出来事も、もしかしたら星によってもたらされるのかもしれません。それは否定しませんし、僕自身も冥王星が月にハードアスペクトを持っていて、それが影響しているのかもしれないという出来事は過去にありました。
しかし、「人事を尽くして天命を待つ」と言った心構えがまず大切であり、「人事を尽くした後に」ネイタルチャートやトランジットを眺めて心の落とし所を見つける、というのが守るべき順序だと思います。
冥王星による影響を「大いなる意志であり、魂が望む生き方」と捉えるのは、細かいところかもしれませんが、これを原因として様々な誤解を生んでいく危険があります。
僕が彩香さんにリーディングをしてもらった時は、このようなトランスサタニアンの解釈はありませんでした。土星までの講座であれば、特に問題提起することもなかったのですが、彼女の意図を知らなかったことによる行き違いでした。
彼女が本セミナーで一番大切な部分で時間をかけて作り上げたのは「月〜土星」までの7天体の解説であり、太陽のテーマに取り組み、その後土星(=枠、つまり肉体/物質)の安定性を築いていくこと、つまり「現実的にきちんと捉えられることを大切にしていく」というのが、今回企画させていただいたセミナーで最も大切なポイントでしょう。
長文となりましたが、今回のセミナーについて何が問題だと個人的に思ったのかを説明させて頂きました。
「その状態を冷静に、現実的に観察し、状態を理解し、根本原因を探す」というのがhonoiro最大のテーマなので、それを失わせる可能性があるトランスサタニアンの解釈だった為に、これだけのボリュームで書いてます。
占星術には、特に発見されて月日の浅いトランスサタニアンの解釈には、占星術家が無理やり辻褄を合わせてストーリーを作っている部分が少なからず存在するように思います。妄信的にならない意志を持って占星術に取り組んでこそ、きっと占星術の今後が発展していくのでしょう。
大切な部分が伝われば幸いです。
さて最後ですが、
今回のセミナーへご参加いただいた方の星座の集計を彩香さんが取ってくれたのですが
太陽星座 <1位>射手座5名 <2位>牡羊・魚座4名
月星座 <1位>牡羊座4名 <2位>獅子・蟹・山羊・双子3名
アセン <1位>射手6名 <2位>牡牛6名 <3位>獅子5名
講師の浜本彩香さんのセミナーレポブログでは、全体的に「火」のエレメントが多いのは、自分のアセンダントが火(獅子座)だから、そして射手座が木星に入ったからだという解説をされていますが、それが主要な原因ではないと考えるのが妥当でしょう。
現実的に考えて、ほとんど全員が僕の占星術ブログによって参加を決意しており、浜本彩香さんの存在を知らない人がほとんどでした(知っていた人も僕の紹介)。彼女がセミナーに向けて何か情報発信をしていた訳でもありません。
公開の愚痴のようになってしまい恥ずかしいのですが、このような現実を見ないで勝手に星の影響だと考えることは非常に残念な事です。
結果は非常に興味深いものでした。太陽以外の天体とサインの要素で、総合的に強く出ているものが人と人との共感、共鳴、惹きつけられる、などの原因となっている可能性があるからです。
射手座は僕のアセンダントで色濃く出ています。
牡牛座は僕の月であり、アセンダントのドデカテモリーも牡牛座です。そして個人天体のうち3つがナチュラルハウスが牡牛座の管轄である2ハウスに入ってます。
僕は牡羊座の人と割とたくさんのご縁があります。生化学セミナーも、意外にも牡羊座の方のご参加は少なくないです。ナチュラルハウスで牡羊座が管轄している1ハウスに太陽があるからかも、とも思いました。
今回、面白いなと思ってアセンや月まで分かる人がある程度いる、自分のカウンセリングのクライアントさんの履歴を集計してみたのですが、なんとカウンセリングお申し込みの方の太陽星座ダントツ1位は牡羊座でした。月は魚座が1位。アセンは牡牛座が1位でした。
アセン獅子座は本セミナー受講者さんに非常に多かったのですが(5名)、4名はある獅子座が強く出ている講師が主催すセミナーへ通っていたグループから来ている事が今回わかりました。また僕は乙女座のMCが強く出ていると自覚しているのですが、そのドデカテモリーが獅子座です。(ドデカテモリーはなかなか面白い要素です。)
これもまた立証できない可能性に過ぎませんが、僕が持っているチャートの要素に反応した、または悦子の人脈や友達繋がりで集まった結果の、受講者さんの星座の分布であると考えるのが現実的であり、人と関わっていくのに大切な考え方でしょう。
以上、今回のセミナーの主催を通して、僕が感じた事、伝えたい事でした。
占星術は面白いです。科学的に証明されずとも、かなりの精度で個人の性格を表すと思います。講師の浜本彩香さんは、まだ説明しきれていないような占星術の謎を、今後も粘り強く追いかけ、分かりやすい言葉で伝えていかれるのだと思います。
僕自身も、また彼女のセミナーを受講したいなとは思いますが、主催をする事は今回限りで辞めさせていただきます。
自分の主催責任において、不確かなスピリチュアリズムを発信することを、今は望まないからです。
セミナーでもお話ししましたが、「夜空の星に原因を求める前に、目の前のゴミを拾って生命場を綺麗にしろ」というのが僕の、honoiroの考え方になります。宇宙はただそこに在るだけです。
また、「上下」という感覚が本当に好きではありませんし、世の不条理を生み出す根本原因だと考えてます。
存在を証明できないにも関わらず人の心理に快感や恐怖を与える概念を利用し、古代より支配やビジネスが行われ続けていると思います。
藤原悠馬